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「愛の不時着」北朝鮮出身女子大生が語るリアル 北の女性は本当に“闇市”で服を買わなきゃいけない?

「どんな化粧品を使ってるの?」「嫁入り道具は?」…8つの疑問に答える

2020/06/09
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 いま人気の韓流ドラマ「愛の不時着」。その魅力の1つが、ドラマの舞台である北朝鮮の描写だ。ドラマで描かれる女性たちの生活はどこまでリアルなのか。北朝鮮出身の女子大生、キム・イェリさん(29歳、仮名)に聞いた。(前編から続く)

(*以下の記事では、ドラマの内容が述べられていますのでご注意ください)

韓国の財閥令嬢のセリ(左)と、北朝鮮軍将校のジョンヒョク(左から2人目)(韓国tvNホームページより)

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Q5:北朝鮮の女性はどこで服を買う?

 ドラマでは、北朝鮮に不時着した韓国の財閥令嬢・セリ(ソン・イェジン)が、社宅村の主婦たちと日本の終戦直後の闇市を思わせる市場「チャンマダン」で服を買うシーンがある。実際はどうやって、ファッションを楽しんでいるのか。

「デパートがあるのは平壌だけなので、やはりドラマのような市場で買い物をします。市場で扱われているのは北朝鮮製品や中国製品がほとんど。ときには韓国や日本、米国から入ってきた古着もあって、アクセサリーも売っています。

 ただ、本当に良い製品を買いたい人は、市場よりは密貿易をしている人から直接購入する。韓国や日本の製品を市場で売っていると、取り締まりに遭って押収される場合も多いので、高級品は家でこっそり売ったり、直接顧客の家まで持って行って売ったりします。このような物の中には、中国のデパートで買い付けてきた高級品も多く、市場の商品よりはるかに高いですが人気も高いです。   

韓国で会見する「愛の不時着」の出演者(韓国tvNホームページより)

 私の親族も、中国から持ち込んだ韓国や日本の製品を売買する仕事をしています。顧客からあらかじめ金を預かって、希望する製品を買ってくるサービスもしていました。娘の結婚を控えた夫人に頼まれて、冷蔵庫やテレビのような大きなものも持って来たこともあります(笑)。その親族は『お金さえもらえば、飛行機も買い付けてこられる』というのが口癖でした」(キムさん、以下同)