文春オンライン

「愛の不時着」北朝鮮出身女子大生が語るリアル 北の女性は本当に“闇市”で服を買わなきゃいけない?

「どんな化粧品を使ってるの?」「嫁入り道具は?」…8つの疑問に答える

2020/06/09
note

Q8:ダンのようなお金持ちのオシャレな女性はいるの?

 ロシア留学の経験もあるソ・ダン(ソ・ジヘ)の一家は、母親が平壌のデパート社長。自宅には豪華な家具が揃い、母は外車を乗り回している。実際にそんなオシャレなお金持ちがいるのだろうか。

北朝鮮軍将校のジョンヒョクの許嫁でもあるソ・ダン(韓国tvNホームページより)

「おそらく0.01%くらいじゃないでしょうか? 北朝鮮の富裕層は、主に党幹部や軍幹部、そして新興資本家階級です。ダンのような資本家階級の子どもは、ファッションや生活水準がソウルの人と同じくらいといわれます。

 私は2度だけ平壌に行ったことがありますが、人々の表情が明るくてファッションも洗練されていて驚きました。冬の平壌の町には、ミンクやラクーンのようなファー製品、高級そうに見えるロングダウンを着ている人も多かったです。

ADVERTISEMENT

 平壌に住む親戚の話によると、オーダーメード服店では、シャネルやヴィトンのような高級ブランド品も買えるそうです。富裕層の必需品はブランド品のほかは、ピアノや自動車でしょうか。党幹部は、国産自動車に乗り、資本家階級はアウディやBMWのようなドイツ車、ホンダのような日本車に乗っています。外車は海外から中古を買ってくるため故障も多いですが、ステータスになるようです。ドラマではダンの叔父のコ・ミョンソク(パク・ミョンフン)が外車に乗っていますが、実際には、軍幹部は平和自動車のような国産車に乗っていると思います。 

 個人的には、平壌に住んでいる貿易の仕事をする親戚の家に行ったとき、洗面所に日本製のビデがあるのを見て、驚いたことがあります。使い方が分からず戸惑いました。あの時、『平壌の人々は、私たちとはまるで違う世界で生きているんだ』と実感しました」 

(韓国tvNホームページより)

◆ ◆ ◆

 キムさんは、北朝鮮国内で韓国ドラマを楽しんでいるうちに、「自由に歩き回れる暮らしがしたい」という思いから、韓国に脱出したという。家族はまだ北朝鮮に残っており、それを考えると憂鬱になるという。

「韓国に渡って、世界のどこでも自由に行けるようになりましたが、肝心の故郷には帰れなくなってしまいました。これまで意識的に、北朝鮮のことを思い出さないようにしていましたが、それでも『愛の不時着』を見ているうちに懐かしく思えてきました。このドラマに描かれている北朝鮮は、私が暮らしていた故郷よりずっと良いところでしたが……」

「愛の不時着」北朝鮮出身女子大生が語るリアル 北の女性は本当に“闇市”で服を買わなきゃいけない?

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー

関連記事