コロナ禍により自宅で過ごす時間が増えたといわれるこの頃。
韓国のエンターテイメント界では自粛続きで上映や公演が延期された映画業界や演劇界が停滞する中、自宅で楽しめるドラマは引き続き絶好調だ。
なかでも最近、「このドラマを見ないと会話についていけない」(50代主婦)と40~50代を中心に旋風を巻き起こしたのが、ケーブルテレビ史上最高視聴率(28.4%、首都圏基準では31.7%、ニールセンコリア)を記録したドラマ『夫婦の世界』(原題)だ。
*以下の記事は、7月にケーブルテレビ局「KNTV」で日本初放送予定の『夫婦の世界』のネタバレを含みますのでご注意ください。
『夫婦の世界』(原題)は英国ドラマ『ドクター フォスター』のリメイク版。ちなみに邦題は、『女医フォスター 夫の情事、私の決断』で、ざっくりとしたストーリーは、この邦題からも分かるとおり “不倫もの”だ。
「ここまでする?」「でもありえなくもない」のギリギリのバランス
主人公は、地方都市で内科医として働く女性。病院では副医院長の立場にあり、街では知られた存在だ。夫は、韓国版では夢を追いかけてばかりの実績のない映画監督で、一家の家計を支えるのはもっぱら医者である妻だ。
それでも、夫婦と一人息子の3人家族は高級住宅が建ち並ぶ一角に住み、家族ぐるみで街の、いわゆる “上流階級”の人たちとそつなく交じわりながら、一見、平穏な日々を送っていた。ところがある日、夫のマフラーに、自分の黒髪とは違う、ブラウンに染められた髪の毛を発見したことから主人公の苦悩と闘いが始まっていく。
こう書くと、なーんだ、お決まりの不倫ものか、と思われてしまうが、不倫はストーリーの入り口にすぎず、離婚までとそれから実に複雑な人間模様がくんずほぐれつ繰り広げられていく魅力がある。
ここまで実際するか? 果たしてこんなことが起きるだろうか。そう思わされる一方で、ありえないわけではないというぎりぎりの現実感もあり、怖いもの見たさも手伝ってぐいぐい引きこまれていく。「今までのマクチャン(あり得ない無理な設定)不倫ドラマとは一線を画したリアリティもあって、説得力があった」と韓国紙記者は話す。