1ページ目から読む
2/3ページ目

 更生とは生まれ変わることなのか? だとしたら、とてもじゃないけど、そんなことはできていない。自分はほとんど何も変わっていないのではないだろうか。

 逮捕されてからのこの4年間、清原氏は精神的な浮き沈みを繰り返してきたが、節目の日を前にして、とりわけ大きな落ち込みに襲われていた。

©文藝春秋

清原が持ち歩いている“灰色の手帳”

 ただ、客観的な視点で見れば、4年前とは明らかに変わっている。

ADVERTISEMENT

 例えば、清原氏は今、灰色の手帳をいつも持ち歩いている。

 それはなんですか? 

 聞くと、嬉しそうに中身を開いて見せた。

(そもそも感情を見せて笑うこと自体が変化なのだが……)

「野球手帳です。ほら、こうやって、次男のバッティングを見て気づいたこと、次に会うときに伝えてあげられそうなことをメモしているんです。すぐにページがなくなっちゃうんですけど……」

「高校野球の監督になりたいんです」

 清原氏にとって、この4年間で最も大きな出来事はふたりの息子と再会できたことだという。その日から、ずっと苦しんできた「死にたい」という願望が消えたのだという。

 その日から再び、野球を愛することができるようになり、今、微かな希望を抱いているという。

「これは本当にもう、夢のようなことなんですけど……。いつか、もしできたら……、高校野球の監督になりたいんです。それで、教え子を甲子園に連れて行くことができたら……。夢みたいなこととして、そういう気持ちは持っているんです」

引退セレモニーで ©文藝春秋

 執行猶予が明けたら、高校野球の監督になるために必要な「学生野球資格回復制度」という研修を受けにいくつもりでいるという。

 そしていつか、高校野球の監督になって甲子園へ……。

 こうして生きる希望を抱いているのも、執行猶予明けを前にブルブルと震えてしまっているのも、どちらも清原和博という人間の現実である。