人は何によって堕ちるのか。
何によって救われるのか。
この4年間、清原氏を記録してきたのは、それが知りたかったからかもしれない。
そして、その答えは、この希望と絶望のパラレルの中にあるのではないか。自問自答している清原氏を見ていると、そう思えた。
薬物依存症の実態を記録する
清原氏にはまた薬物依存症の実態を世の中に知ってもらいたいという願望があった。
覚せい剤によってどん底に落ちた。専門医に出会い、薬物の怖さを知り、知識を深めた。最近では自助グループに参加し、この病気に苦しむ多くの人を目にしてきた。
それによって使命感が生まれたという。
だから、清原氏はまた自身の内面と向き合って語ることになり、こちらはまた記録のペンを取ることになった。
やはり日々、激しい浮沈の波があった。
口にするだけで心が壊れてしまいそうだという出来事も、そもそも記憶に残しておくことすら耐えきれず、本能的に脳裏から焼却してしまっていた出来事もあった。
そのひとつひとつを掘り起こしていく。
世界がコロナ・ウィルスと戦う中で、それはひっそりと続けられた戦いだった。
清原氏が続けた戦いの全貌、そしてこの4年間を通して「ひとつだけ明確にわかったこと」については、「文藝春秋」7月号および「文藝春秋digital」の「薬物依存症との1595日」と執行猶予明けの6月15日に刊行される自著『薬物依存症』で克明に明かされている。
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