無収入のまま120万円の支払いが
スナック「N」は3月最終週から客が入らなくなり、緊急事態宣言が発令された4月7日に休業した。4月の家賃30万円(毎月15日支払い)、続く5月の家賃、そしてすぐに6月の家賃の支払いが来る。しかも契約更新を控えて6月末に更新料(家賃1カ月分)の支払いがあり、合わせて120万円。
これに対して公的給付は特別定額給付金の10万円と、知人が代行申請してくれた持続化給付金の100万円で計110万円。家賃の支払いだけで尽きてしまう。協力金50万円は入金される見込みだが、無収入のまま3カ月弱の住居費や生活費がかかっている。
店が入居する雑居ビルのオーナーは、5月以降の家賃を最大3カ月分、再来年4月まで支払い猶予できるという通知を郵送してきた。しかし減額ではなく、あくまでも猶予。利用は考えていないという。
「銀座で家賃30万円は安く、同規模のお店でも場所によって50万円を超えるところも多い。東京都の協力金は1カ月の家賃に満たないところが多く、知人の店主は『眠れない』と漏らしていました。
私の場合、早い時期に知人の協力で日本政策金融公庫から300万円借りることができました。しばらく営業していけるのは、この300万円があるからです」(同)
株主総会まで夜の街での飲食を禁じる会社も
再開して客が戻ればいいが、客の入りは悪い。再開した先週月曜日は2人、火曜日はゼロ、水曜日は1人、木曜日はゼロ、金曜日は1人だった。
再開後は女性店主1人で営業しているために料金を下げ、ボトルが入っていれば1回5000円程度にした。1日数人の客では家賃も支払えなくなる。
「来てくれるのは自営業とか定年退職した人だけです。会社員は感染して会社に迷惑がかかることを気にしているようです。お客さんの1人に連絡すると、『会社の締め付けが厳しく、しばらく無理』と返信がありました」(同)
上場企業は6月末に株主総会を控えている。問題を起こすことはできず、少なくとも株主総会まで夜の街での飲食を禁じているところも多いという。