昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載テレビ健康診断

「これ欲しい~!」泉ピン子の通販番組は他との違いを出せたのか?――青木るえか「テレビ健康診断」

『ピン子、通販やるってよ~本日開店!ピン子デパート~』(TBS系)

2020/06/14

 5月末の平日の午前中。つけっぱなしのテレビはいつものように通販番組が流れている。もうじき『ひるおび!』始まるなあと思いながらマンガ読んでたがいつまでたっても通販。あれ今日は休みか?(『ひるおび!』が好きなわけじゃないが)と新聞のテレビ欄を広げたらその日は『ピン子、通販やるってよ』という1時間番組で『ひるおび!』に30分食い込んでいた。関東は2週に分けて、食い込まないようなプログラムだったみたいだけどわが家を含む地方局では1時間まとめて放送したようだ。

泉ピン子 ©文藝春秋

 それで、いつもは見ない通販番組をついじっくり見てしまったのだが、いろいろ考えさせられた。

 これ放送10回目らしい。不定期放映なのでもう何年も前からやってる。

 テレビ通販といえばジャパネットや日本文化センター(よく考えるとすごい社名だ)でわかる通り、主役は商品。出演者はあくまで語り部。自分が目立っては本末転倒(ジャパネットの髙田明は目立ってたが語り部の分を守っていた)。

 芸能人が出る時も「お茶の間の客の立場」で「素朴な消費者(=ホイホイ甘言に乗る客)」としての役割、いわば間抜けな客を演じさせられる。

 その点、『ピン子、通販やるってよ』は泉ピン子がカツラかぶって役場の事務服みたいなの着て、しかしこんな格好だけど「ピン子デパートの支配人」で、出てくる商品に突っ込み入れつつもしつこく値引き交渉し、最後には「これ欲しい~!」というとこに持っていく。笑わせる役だが、それはあくまでも「笑われるのではない、笑わせる」という構造。「今までの通販番組とは一味ちがいまっせ!」というTBSのやる気をビンビンに感じるが、……見てると「日本文化センターのテレホンショッピング」と印象は変わらぬのである。画面がガチャガチャとうるさく、大げさなリアクションと、商品説明の、よく通る声と特有の「ほんのちょっと他よりも高いトーン」のしゃべり。スーパーのチラシの隅っこのエノキダケまで「私を見て!」と言ってるような雰囲気をそのままスタジオに再現してる。通販番組は結局みんなこうなって、「あーやってるな」と思うだけだ。

©iStock.com

 10回を節目に、最終回らしい。ピン子をはじめ出川哲朗やらIKKOやらタレントいっぱい呼んでもギャラももったいない。

 これからの通販番組は深夜系のドラマ仕立てで「そんな○○さんの暮らしを変えたのは……青汁です!」……って、もうあるよそれ! 通販番組に新味は不要。ただ、通販番組の王者・便利調理器具で作ってみせる料理がいつもすげー不味そうなのでそれを改善すればもっと売れ行きはあがると思う。前から言ってるんだが。

INFORMATION

『ピン子、通販やるってよ~本日開店!ピン子デパート~』
TBS系
https://ishop.tbs.co.jp/tbs/tvradio/pinko/

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー