文春オンライン

広瀬アリス&すずが登場 豪華すぎるNHKリモートドラマ『Living』が見せた“超短編の鋭さ”

広瀬アリスと広瀬すずの対照的な女優性

CDB

2020/06/05
note

 5月19日に発表された、緊急事態宣言下でのリモートドラマ『Living』の予告は、SNSで大きな反響を呼んだ。トップ脚本家の1人である坂元裕二が手掛けることも話題のひとつだったし、また冒頭の第1話と第2話が広瀬アリス×広瀬すずの姉妹、永山瑛太×永山絢斗の兄弟、そして翌週の第3話・第4話はそれぞれ中尾明慶×仲里依紗、青木崇高×優香(声)による共演であることも多くの人を驚かせた。

「緊急事態宣言下で家族以外の集合の自粛が求められている」つまりは兄弟姉妹・夫婦が家の中で撮る映像だけが例外的に「自粛」を求める視線をかいくぐることができる、そうした特殊状況下での共演に「その手があったか」「いやここしかない、最初で最後かもしれない」という驚きと納得の声があいまった。

リモートドラマ「Living」(公式HPより)

 実は4月末には、広瀬アリスと広瀬すずの姉妹はインスタグラムでライブ配信を行い、10万人の配信視聴者を集める大きな反響を呼んでいる。緊急事態宣言下、インスタライブの形式では俳優やアーティストがお互いの自宅から上下に画面を分割する「コラボ」という形での配信が盛んだったが、2人ともにトップ女優となったにも関わらず、今も同じマンションで母親と暮らす広瀬姉妹は家を出ることなくひとつの画面でお互いに小突きあいじゃれあいながら配信することが可能だったのだ。兄弟姉妹といえどある程度成功すれば独立して別居するスターが多い中、姉妹女優による異例の形式の配信だったと言える。

ADVERTISEMENT

キャスティングは豪華だけど……

 一方で、正直なことを言うと5月30日の夜の放送直前には、「あまりに期待が膨らみすぎて肩透かしを食うのではないか」という危惧を感じたのも事実だ。

 何しろ一話あたりの時間はたった15分でしかない。それにカメラを固定したリモートドラマの演出は意外に難しい。『舞台は俳優のもの、映像は監督のもの』という言葉があるが、映画やドラマにとってカメラワークの演出というのは観客が想像するよりもずっと大きい。映画で名演技、名場面と言われる感動のシーンをメイキングで別の角度からフラットに撮った映像で見るとまったく違う冷めた印象に感じることがあるが、観客の感情というのは気がつかないうちに画面のレイアウト、カメラの動きに大きく影響されているのだ。しかもそうした固定カメラとフラットな照明で撮るリモートドラマは先行して配信でもテレビでも既にいくつか公開されており、『Living』は緊急事態宣言解除後に『出遅れた』タイミングでの放送となった。