もうひとつは、たとえば新型コロナの話であれば、専門家・有識者の方だけが会話に参加できるようになるということです。フォロワーは雑音のない、一貫性のある会話だけを効率的に見ることができる。そういったことが実現できるといいなと思っています。コミュニケーションとしては、半分パブリック、半分プライベートという「ラジオ的」な使い方をしてもらえるのかなと考えています。
その意味で、実験的に使ってもらっているのが、ビデオのライブ配信に任意の人だけが参加できる機能(ツイッター上とPeriscopeで対応)です。自分が参加してもらいたい人だけに参加してもらって、そこでコメントなどのフィードバックをもらったりする。これもまさに「ラジオ的」な使い方になるのかなと思います。
いずれにせよ、こうした機能を実装するときに意識しなければいけないなと思うのは、ある日突然何か急激な変化を提供すると、今まで使ってくださっていた方々が抵抗感を示すことがあるということです。よって、いわゆる「ABテスト」を繰り返しながら、少しずつ使い方を広げていく必要があると思っています。
“デマ・悪意”への警戒レベルをあげています
危機の状況下で、なるべく安心して使ってもらえるように、ぼくらなりに考え、がんばろうとしています。
世界でも多くの人が在宅勤務をされていると思いますが、一方でツイッター社には「サーバーを落としちゃいけない」「インフラを維持していかなければいけない」という使命があります。そこでどうしても在宅勤務ができない人たちというのも正直いる。サーバー環境の保持であったり、個人情報の管理であったり。そういう意味で彼らが自らを危険にさらしながら利用者のみなさんを陰ながら守っていることについてはお伝えしておきたいのです。
先の震災のときもそうでしたが、こういった有事においては残念ながらデマを流そうと試みたり、さまざまな悪意を持った使い方をする方々がいらっしゃいます。
こういった行為を防ぎ、皆さんの健康や命を危機にさらすような投稿に対処するために、従来よりも警戒レベルをあげて対応しています。新しくルールを見直して強制的対応の基準を厳しくする、誤情報と思われるものには信頼できる情報へのアクセスを促すラベルをつける、機械学習も活用しての違反投稿や違反アカウントの検知と強制措置をとるといったことです。それによって投稿の削除やアカウントの一時的なロックなどの件数も増えており、システムでの検知の感度をあげていることで誤ってアクションする場合もあります。こういった対応によって不満に思われる方々が一定数いらっしゃることは承知しており、こちらに誤りがあった場合は大変申し訳ないと思っていますが、われわれとしてはなるべく安心して使ってもらえるように努力を続けていきたいと思っています。
なお、ツイッターには強制的対応に対して異議申し立てをする機能があり、こちらも担当のチームが24時間365日の体制で目視でチェックしています。ツイッターのアクションに異議があった場合はこの仕組を使ってどんどん異議申し立てを申告してください。同時に、ルール違反と思われる投稿についても報告することができます。皆さんがご覧になっておかしいと思う投稿があったら、こちらも積極的に申告してください。チームの判断によっては皆さんのご期待とは違う結果になる可能性もありますが、皆さんからの申告によって担当のチームも、自動検知のシステムも学習でき、これによって今後の対応の精度が向上していきます。
構成=竹村俊助 @tshun423
写真=杉山秀樹/文藝春秋