また、新型コロナの感染リスクを避けるために、都心から地方企業へのU・Iターンの希望者が増えるのでは、という見方もある。株式会社「学情」が20代の男女を対象に行ったアンケートについて、36.1%が「地方への転職を希望する」と回答。今年の2月に比べて14.3%増加したと報じられている。
「数字として表れるのは少し先ですが、当社でも都心で働いている人から『コロナを機に地元に戻ることを決めた』『地元の求人情報を見たい』という相談が増えています。これまでの都市部集中や大手偏重志向から、地方の中堅中小企業や、地方に住みながらリモートで働くなど、今後は選択肢が広がる可能性は高いですね」
とくに20代、30代前半の若い世代で転職意欲が高まっており、オンライン面接などの選考方法にも柔軟に対応している、と大浦氏。来年の今頃は、満員電車に揺られてオフィスに出社し、同じ場所で大人数で働くという勤務スタイルが一変しているかもしれない。
コロナ後を生き抜く働き方とは
「今後、『求人が戻るまでに2~3年かかる』と言われていますが、4月現在の有効求人倍率は1.32倍あります。また、この2~3カ月のうちに、様子を見ていた企業が採用活動を再開するはず。リーマン・ショック後に有効求人倍率が0.42倍まで下がったことを思うと、あまり悲観的にならずに転職活動に取り組んでほしいです」
今後の展開を前向きに捉えつつも、コロナ後を生き抜くには「今働いている業界や、会社に依存しないスキルを複数持つ必要がある」と話す。
「新型コロナで突然仕事を失うリスクを目の当たりにして、副業兼業に興味を持った人も多いと思います。『このスキルがあれば安泰だ』という明確な答えはありませんが、バッターとピッチャーで活躍するメジャーリーガーの大谷翔平選手のように、まったく異なるスキルを使いこなす“二刀流”になれたら、生活の安泰につながるかもしれません」
いまや、安泰は会社や業界が与えてくれるものではなく、自ら勝ち取るものになっているのだ。新型コロナは図らずも、私たちに“仕事のあり方”を問うきっかけになったのかもしれない。