作家・司馬遼太郎が、1966年に上梓した小説『関ケ原』がついに映画化される。秀吉亡き後、徳川家康(役所広司)率いる東軍が、石田三成(岡田准一)率いる西軍と関ヶ原で戦った史実をもとにした戦国絵巻だ。監督・脚本をつとめたのは、今年68歳になる原田眞人。
「『関ケ原』を題材に映画を撮ろうと考えたのは、実は25年も前のこと。その後、主人公のプランが小早川秀秋、島津惟新入道と変遷し、3年前に石田三成を主役にした映画を撮ろうと決心しました」
若い頃は、三成のことが嫌いだったという。頭でっかちで、戦の途中で逃げた男という印象があった。
「今は三成を理解できます。考えてみると三成の行動にはブレがない。体は小さいけれど武芸にも長けていた。数学的な思考を持っているところなんかは、撮影現場での僕にそっくりです」
ナレーションは、司馬作品の原文のまま。原作通り司馬少年が大原観音寺で坊主に話しかけられるシーンから始まるが、ここは400年前に三成が秀吉にお茶を出した場所だ。
「すべて撮影が終わってから、物足りなさを感じて、原作に立ち返って、司馬先生のおしゃべりを入れることにしました。ちなみに、観音寺として撮影した寺は彦根の天寧寺。溝口健二の『西鶴一代女』でもロケ場所となった寺です。他にも黒澤明の『七人の侍』、オーソン・ウェルズの映画の合戦シーンなど尊敬する作品群にオマージュを込めました」
『関ヶ原』
8月26日(土)全国公開
http://wwwsp.sekigahara-movie.com/