ベストセラー『コロナショック・サバイバル』著者であり、JAL、カネボウ、ダイエーなど数々の企業再生に携わった“企業再建の達人”冨山和彦氏。このたび続編となる『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える』(文藝春秋)を上梓した。

冨山和彦氏

 本書のなかで冨山氏は、コロナショックが最後のトドメとなり、日本型企業モデル(年功序列・終身雇用)は遂に崩壊すると大胆予測。もはや会社に頼れない時代、ビジネスパーソンが生き残るための究極の方法とは?

「食えること」と「人の役に立つ」ために重要なのは…

 日本的カイシャ、そのサラリーマンという生き方はもちろん、既存の色々な生き方も、今後、どんどん相対化、流動化していくだろう。その流れはコロナショックによって加速することこそあれ、スピードを緩めることはない。その中で個人としてどんな生き方をしていくべきか? いやそれをべき論で語ること自体、トランスフォーメーション(変革)の時代にそぐわないのかもしれない。詰まるところ、一般的な正解はないので、自分の頭で考え、ハートで感じ、フィット感のある生き方をそれぞれしてください、ということになってしまうのかもしれない。ただ、そこそこ食えないと人生しんどいし、誰かの役に立ってる実感は年を取るほど欲しくなるものだ。そこで、これからの時代、そこそこ食えることと、それなりに人の役に立つ上で、私が重要と考えていることを共有しておきたい。

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コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える』(文藝春秋)

 実はこの二つは本質的なところでつながっている。「事業」という言葉があるが、営利であれ非営利であれ、事業が継続して成り立つには、それが誰かの役に立ち、何らかの方法で事業活動を続けるのに必要な対価を払ってもらえることが大前提となる。事業の担い手が食えないと活動を継続できないので、役に立っていることの対価がその人が食うのに必要な金額以上でなくてはならないのだ。会社に帰属するのであれ、個人事業主であれ、本質的には事業を営むことにおいて有用に機能することが、そこそこ食えることであり、それなりに人の役に立つ基本条件である。