「山口組分裂抗争で拳銃の値段は上がった」
警察庁によると、自殺や事故を除いた昨年の銃器発砲事件は13件で、うち10件は暴力団がらみ。ある暴力団関係者はこう話す。
「山口組の分裂抗争で拳銃の値段は一時は上がったが、最近は特に上がることもない。ヤクザも静かになってあまり使う機会がなくなったから」
ヤクザですらあまり手を触れない拳銃をどうやって手に入れるのか。可能性が指摘されるのはネットだ。
ネットには通常のグーグル検索などだけではアクセスすることのできない「ダークウェブ」なる領域が存在する。そこでは違法薬物や拳銃などが仮想通貨などを使ってさまざまな値段で取引されている。少年がここを使って手に入れた可能性もあるというわけだ。
ダークウェブ上で注文ができ、仮想通貨で決済が済んだとしても、モノの移動は既存の郵便・宅配サービスを使わざるを得ないが、税関関係者は「過去には部品ごとに分解して個人輸入した拳銃が郵便物のなかから見つかったことがある。我々の検査をすり抜けて、そうした形で拳銃の個人輸入がされた可能性は理論上、ありうる」と話す。
海外勤務の父親が入手したのか?
さらに今回、ささやかれているのが外務省ルートだ。少年の父親はすでに死去してはいるものの、かつて外務省の職員としてアルゼンチンやブルガリアなどにも勤務。こうした国では日本とは比較にならないほど簡単に拳銃が手に入るからだ。
そこでも問題になるのは、どうやって国内に持ち込んだか、だ。外交特権を利用して税関を通さずに持ち運べるかと思いきや、外交官としての海外赴任経験のある関係者は「赴任先からの帰国便などは普通に税関を通ります。拳銃の密輸なんかとても無理です」と話す。
貨物便ならすり抜ける可能性も?
ただ、前出の税関関係者はいう。「貨物便などであれば、検査をすり抜ける可能性はある」。航空便の手荷物などと違い、コンテナ便については、すべてをくまなく調べられているわけではないからだ。「税関は発送元や品名、発送先などを総合的にみて不審な点がないか判断しており、引っ越し荷物であれば、アンテナに引っかからない可能性もある」という。
少年はどうやってさまざまな監視の目をくぐって拳銃を入手したのか。前出の暴力団関係者も興味深く見守っているという。情報を渇望しているのは、捜査関係者だけではないようだ。