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K氏の会社は5か月前に倒産していた

〈Kは、長崎大司教区に対して返済されていない1億4651万2273円を返済するために、2017年1月31日までに、実効性のある返済計画を、B神父に提出することとする〉

〈2013年9月9日に、長崎大司教区がKの事業に対して行なった1億円の投資に関して、KはB神父に出資証書を提出する〉

 約1億5000万円を貸し付け、それとは別に1億円を出資しているので、K氏に渡った金は約2億5000万円になる。

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 ではいつ渡したのか。第2の資料、債務残高を確認するために作成された「貸金についての返済請求計画書」によれば、13年7月30日に5000万円、9月下旬には3回に分け計1億円が貸し付けられている。前述の「1億円の投資」は7月の貸付と9月下旬の貸付に挟まれた9月9日。これに対して返済は14年から15年にかけて3回、計1800万円の返済があったように記載されているが、その後の支払いはない。

「貸金についての返済請求計画書」

 加えて不可解なのは、この2枚の書面が交わされた時期だ。

 法人登記によれば、覚書が交わされる5か月前の16年8月、K氏が社長を務める「株式会社アール・アイ・イー」はすでに倒産している。倒産企業の社長であるK氏との間で債権債務の存在を確認したとしても大司教区が貸金を回収できるかと言えば、極めて疑わしいし、出資証書を受け取ったとしても紙切れ同然に違いない。

K氏とは、一体何者なのか? 

 そもそも、このK氏とは、一体何者なのか。

 貸し付けや投資が行われた当時、K氏が配っていた名刺が、少なくとも3枚あった。アール社と、国際NGOと称する「GSI-ARMS」(肩書きは事務局長)の「本部」は東京・表参道に住所があり、地図検索すればグッチやドルチェ・アンド・ガッバーナの経営法人が入居する、13階建ての瀟洒なビル。もう一つの「NPO法人セルフケア総合研究所」(副理事長兼事務局長)の所在地は恵比寿ガーデンプレイスタワーだ。

 ただ、足を運んでみると、2か所とも同じ業者が運営するレンタルオフィスで、そこには3法人とも現在は存在しない。