文春オンライン

2020/06/29

強い嫉妬を感じるのは「自分に似ている相手」

 あなたはパートナーとカクテルパーティに出席している。ふと気づくと、パートナーはあなたのもとを離れ、見知らぬ男性/女性と楽しそうに話をしている。パートナーの話し相手がどのようなタイプのとき、あなたは強烈な嫉妬を感じるだろうか?

 被験者はアメリカの大学生だが、嫉妬の対象にははっきりとした傾向があった。キーワードは「自分に似ている」だ(2)。

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 ベタなストーリーでこのことを説明してみよう。主人公はサッカーに夢中な男の子で、クラスにちょっと気になる女の子がいる。あるとき図書館で、いつも本ばかり読んでいるガリ勉タイプの男子生徒と彼女が仲よく話しているのを見かけた……。

 このとき主人公は、ガリ勉男子の存在を無視するか、逆に友だちになったりするだろう。ふたりがつき合いはじめたら、応援したりするかもしれない。ところが、彼女が他校のサッカー部のエースと楽しそうに話をしているところに遭遇したら、事態は一気に不穏になり、強い嫉妬に駆られるにちがいない。なぜなら、自分に似ている相手は自己肯定感への脅威になるから。

自己評価が低いほどパートナーに執着

 わたしたちは誰もが、無意識のうちに、自分を最大限魅力的に見せようとしている。そのとき比較の対象になるのは、同じ戦略で性愛を獲得しようとするライバルで、そこでの優劣は死活的に重要だ。それに対して、まったく異なる戦略の他者は、そもそも比較のしようがないのでどうでもいいのだ。

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 気になっていた女の子が自分とまったくちがうタイプの文学少年とつき合いはじめたとしても、最初から縁がなかっただけの話で、サッカー少年の自尊心はたいして傷つかない。ところが彼女が選んだのが他校のサッカー部エースだと、「自分は魅力度が低い」すなわち「同性間競争に負ければ性愛を獲得できない」という強い警告のサインになるのだ。――ここでは男の子を例にしたが、「かわいさ」を戦略にする女の子を主人公にしても同じ話になるだろう。

 嫉妬についての研究では、自己評価が低いほどパートナーに執着し、ストーカーやDV(ドメスティック・バイオレンス)などの攻撃的行動が増えるとの報告がある。自己肯定感を維持することは、生き延びて子孫を残すうえでものすごく重要なので、私たちはどんなことをしてでもそれを守ろうとするのだ。