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2020/06/27

安易に性欲原因論で論じてしまってはいけない

  しかし問題は、「男性は性欲がコントロールできない生き物である」というような歪んだ価値観が前提になっており社会に浸透しすぎていること。そのせいでセックス依存症もそうでない人もひっくるめて、旺盛な性欲は男の甲斐性であるという言説でまとめられてしまいがちです。

 渡部さんの件も、安易に性欲原因論で論じてしまうとその本質を見誤ってしまいます。セックス依存症を論じる際に、強すぎる性欲に問題を矮小化して考えることは、その背景にある男尊女卑的価値観や女性蔑視の価値観を見えなくさせてしまいます。

 また、性行為とは関係のない渡部さんの言動で心配な点がありました。それは渡部さんが所属事務所を通じて謝罪をしたことです。

ロケ撮影には児嶋の姿も。2018年7月撮影 ©文藝春秋 

渡部の“セレモニー化した謝罪”から懸念されること

 相方の児嶋さんがラジオで「相方とは1回2回電話で話して、心を入れ替えるって謝ってきましたけど」「人間そんな簡単に変われるとは思ってないんですけど、心を入れ替えて、人の気持ちがわかる、愛のある優しい人間に生まれ変わらないとダメですよ」とおっしゃっていましたが、「心を入れ替える」ことは本当に難しい。 先に謝罪をしたことで、認知の歪みに向き合うことなど、必要なプロセスがないがしろにされてしまわないか。それがとても心配です。

渡部の代役でラジオに出演し、涙ながらに謝罪した相方の児嶋一哉 ©文藝春秋

  本当に渡部さんが反省し、自ら変わりたいと望むのであれば、まずするべきは謝罪や活動自粛を踏まえたうえで、男尊女卑的価値観の背景にある認知に歪みにしっかりと向き合うこと。その作業を通して、新しい自分に生まれ変わる努力をすることなのかもしれません。

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