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郊外の戸建てで“自分流の生活”を

 郊外部が再び家選びの対象となってくる、また密を避ける生活を志向する人たちが増えてくると、マンションよりも戸建て住宅を選択する動きが出てきそうだ。戸建て住宅の良さはなんと言っても、家の外装、内装、設備、住み方のルールまですべて自分流にアレンジできる点だ。

 また、自身の懐事情に応じて修繕や改装のやり方や予算を決められる自由度がある。郊外であれば都心では考えられないほど広い敷地が手に入る。家だけが建つのではなく、ガーデニングや家庭菜園なども楽しめるようになる。

 中古マンションならば戸建て住宅よりもさらに安く手に入る。自身が住む専有部なら手を加えることができるので、少しお金をかけて自分流にデザイン、リフォームをする余裕が生まれるだろう。

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 デベロッパーが勝手に作り上げるポエムに乗っかって、都心部の新築マンションをギリギリのローンを組んで購入し、会社の下僕として働きながらひたすらローン返済に励むようなライフスタイルは、これからの時代にはそぐわない。

余ったお金は趣味や自分への投資に回せる

 住宅にかけるお金が少なくて済むのならば、生活のゆとりも得られる。年収の10倍、11倍もの価格の都心マンションを買っても生活の潤いは得られない。マンションというハコを手に入れたにすぎないからだ。ところが都心マンションに費やすはずだった多額のお金が手元に残れば、もっと他の分野に使うことができる。

 生活に彩りをもたせるための趣味に使う、文化や芸術に触れる機会を増やす、学ぶ、自分に対する投資に回す、など豊かな日常を築くことができるようになる。

 サラリーマンの人たちと会っていて気になるのは、多くの人が会社のことや業界のことについては雄弁でも、日本の歴史や文化といった教養面になると驚くほど知見がない、趣味もせいぜいゴルフやランニング程度だという事実だ。だが、これもいたし方がないのである。人生で得るお金の多くが住宅に注ぎ込まれていて、他の分野を勉強するお金も時間もないというのが、サラリーマンの典型的なライフスタイルだったからだ。

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 だがポスト・コロナの時代は、こうしたライフスタイルを大きく変えるチャンスだ。そしてライフスタイルの変化は、日本人のステレオタイプな家選びもまた、大きく変えていくだろう。