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ロッテ・大塚明コーチが明かす「マリンスタジアム名物の“風”攻略法」

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/17

 最大風速17メートル。7月7日、七夕の夜。ZOZOマリンスタジアムで行われた埼玉西武ライオンズ戦は強風が吹き荒れる中、行われていた。この日から始まった埼玉西武6連戦。振り返ると風が緩やかだったことは少なく常時、10メートル以上は吹き荒れる状態。ただここを本拠地とするマリーンズ選手たちにとって、もはや10メートルの風であれば普通の部類に定義される。

「ここの風は本当に複雑で厳しい」

「慣れるしかないよね。自分も20代のころは苦しんだけど30代になると自信が持てるようになってきた。なんといってもスタートが大事になるけど、決めつけないことも大事。ここの風は本当に複雑で厳しい。他の野外球場はある程度、風は一定。ここは日によっても違うし時間によっても違う。条件によっても違う。そう考えると、やっぱりドーム球場は楽だよ」

 大塚明外野守備走塁コーチはマリンの風をそのように表現した。複雑怪奇な風の動き。しかし現役時代の大塚コーチは風を計算し尽くしたように悠々とフライキャッチをする選手の代表格でもあった。それはこの風と球場の特徴を知り尽くしていたからの事でもある。

大塚明外野守備走塁コーチ ©千葉ロッテマリーンズ

「意外と知られていないのだけど、この球場はバックネット側の方が高くてセンターの方が低い。だから上の方は特に動きが変わって難しい」と大塚コーチは要因の一つとしてZOZOマリンスタジアムの構造上の特徴を指摘した。バックネット側の球場壁の高さが33.9メートルに対してバックスクリーン側は27.6メートル。この6.3メートルの高さの差が風の動きを難しくする。大事なのは上空に上がったフライがこの6.3メートルの差のある空間まで上がったのか、その下かを見極めること。これが捕球する上で大きなポイントとなる。下であれば他の打球と同じような動きをするが、この6.3メートルの特殊な空間に上がったり、それより上まで行くと逆の流れ方を始めるのだ。

「だから最初に見極めないといけないのは打球がどこまで上がるか。天井近くまで上がるとこれまでの打球の動きと逆の動きをする可能性があると気をつけないといけない」(大塚コーチ)

「最初に見極めないといけないのは打球がどこまで上がるか」 ©千葉ロッテマリーンズ

 7日の試合でチームは風を計算し尽くし、味方につけながら勝利となった。しかし、余韻に浸る事なく外野手は再びグラウンドに出るとこの風に慣れるべくフライキャッチの練習を入念に繰り返した。ノックをするコーチ陣も慣れたもの。高いフライを打ち上げ、難しい打球をあえて作り上げていた。