大統領選においても無視できない影響
2016年のアメリカ大統領選挙において、4chanは無視できない影響を及ぼしている。トランプ支持勢力のひとつであったオルタナ右翼は、オンラインコミュニティをその活動領域にしていたが、4chanの政治カテゴリの掲示板である/pol/はその中心地のひとつであり、白人至上主義にまつわるミームの生産拠点であった。
/pol/で生まれた(変化した)ミームのひとつに、「カエルのペペ」がある。普通のマンガのキャラクターだった「カエルのペペ」のミームを変質させ、白人至上主義者のシンボルに変えてしまい、ネット上に氾濫させた。トランプの大統領就任式演説の際、ワシントンDCでは、ペペのバッジや印刷物を持った聴衆が見られたという。
4chanからFacebookへ
一方、ブーガルー運動については、武器や軍事技術を話題とするWeapons掲示板(/k/)がその起源とされている。/k/のトップにある注意書きには、武器・軍事技術の話題に特化した掲示板であること、政治の話題は/pol/(Politically Incorrect掲示板)でやれといったルールが示され、銃の基礎知識、入手法、サバイバル術等が解説されているWikiサイトへのリンクが貼られている。
調査報道グループのベリングキャットのロバート・エヴァンス氏によれば、少なくとも2012年には「ブーガルー」が内戦という意味合いで/k/で使われているのが確認でき、2018年以降に使われる頻度が増したという。同時にその頃になると、/k/のブーガルー信奉者たちはFacebookへその活動を移すようになったとされる。
現在、Facebookからはブーガルー関連のグループは削除されているが、監視グループのテック・トランスペアレンシー・プロジェクトの4月22日付記事によれば、125のグループと72,686名のメンバーがFacebookで確認されていたという。グループの63%が2月以降に開設されたもので、メンバーの半数は過去30日以内に参加したものだという。アメリカ国内での新型コロナウイルス感染が深刻化し、ロックダウンとそれへの反発が起き始めた時期だ。