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上智大のクリスタル ケイ、青山テルマ

 女子学生ミュージシャンのグローバル化が進んだ。その象徴的な大学が上智大だった。

 2004年、Crystal Kay(クリスタル・ケイ)が入学した。父はアフリカ系アメリカ人、母親は在日韓国人3世である。2007年、7枚目のアルバム「ALL YOURS」はオリコン初登場1位を記録し、Crystal Kayの伸びのある声に多くの音楽ファンは度肝を抜かれた。

Crystal Kay ©文藝春秋

 2006年、青山テルマが入学している。青山の父方の祖父はトリニダード・トバゴ人で、クオーターになる。2008年、「そばにいるね」でオリコン1位を獲得し、NHK紅白歌合戦に出場した。

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青山テルマ「そばにいるね」

 2人ともアメリカンスクール出身である。文部科学省の管轄外のアメリカンスクール、インターナショナルスクールなどから上智大に進み、在学中にミュージシャンとして活躍していた先輩たちがいる。アグネス・チャン、南沙織、西田ひかるなどだ。

アイドルが早慶出身の女子学生に

 2010年代にはアイドルが女子学生になるケースが見られた。AKB48グループで活躍した女子学生を見てみよう。

 早稲田大の仲俣汐里は政治経済学部経済学科の学生ということもあって、『AKB48でもわかる経済の教科書』(――青志社)を菅下清廣(国際金融コンサルタント)との共著で刊行している。

 慶應義塾大の内山奈月はAKBの研究生時代、日本武道館のコンサートで日本国憲法を暗唱し、「憲法アイドル」と呼ばれた。のちに『憲法主義 条文には書かれていない本質』(――PHP研究所)を南野森(九州大教授)との共著で刊行する。内山は同書で、安倍政権の「解釈改憲」についてこう綴っている。

「解釈改憲が手軽に行えるとしてもそれを繰り返すことは非常に危険だ。解釈改憲を繰り返すうちに本来の憲法の意味がなくなってしまいかねないからである。(略)憲法の価値とは、『誰が草案を書いたのか』とか『草案の素晴らしさ』がそれを決めているのではない。その憲法が『その国に根づいているか』『安定しているか』『運用されてきたか』ということが、その憲法の価値を定めているのだ。そういった観点から見て、日本国憲法は素晴らしい憲法であると思う」

 女子学生アイドルが改憲反対を訴えた、とも読みとれる。これも社会と向き合い闘っていると言えるのかもしれない。

女子学生はどう闘ってきたのか

小林 哲夫

サイゾー

2020年5月27日 発売