ストロング系と呼ばれる缶チューハイは、通常の缶チューハイやビールに比べてアルコール度数(9%以上)が高く、アルコール依存症などの健康リスクが指摘されるアルコール飲料だ。一部の専門家からは法規制すべきとの声もあがっている。この4月には、オリオンビールがストロング系の人気商品「WATTA STRONG」の販売終了を決めたことも注目を集めた。
新型コロナの影響による外出自粛の期間、普段よりも自宅でお酒を飲む量が増えたという人も多いのではないだろうか。「つい飲んでしまう」「やめられない」という人たちの話を聞いた。(取材・文=押尾ダン/清談社)
満員電車内でストロング系を飲むのが日課だった
テレビ番組の制作会社で管理職をしている40歳の黒田士郎さん(仮名、男性)は、ここ3~4年ほど、アルコール度数9%のストロング系を飲み続けているという。理由はアルコール度数が高いのに低価格という、ストロング系ならではのコスパの良さだ。
「普通の缶チューハイのアルコール度数は高くても6%未満ですが、ストロング系の主流は9%です。12%の商品もあります。刺激が強いうえ、350mlが100円台、500mlのロング缶でも200円前後で買えます。アルコール度数が低い缶ビールの500mlは280円ほどしますから、より早く安価に酔うにはやっぱりストロング系がいいんです」(黒田さん)
しかも、ストロング系の多くはレモンやグレープフルーツ、オレンジなどの柑橘系のさわやかな味なので非常に飲みやすい。ついつい帰宅途中にコンビニなどで手に取る人が多く、飲み続けているうちに本数が増えていく傾向があるようだ。
黒田さんは、外出自粛前は仕事帰りにコンビニでストロング系の350mlを買い、満員電車のなかで飲むのが日課だったという。1缶飲み終えたら、駅ナカでまた1缶買う。家に着くころにはいい感じに酔いが回り、そのまま帰宅後も飲み続けることになる。