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「昼間から飲んでいない。まだ食欲がある」と自分を納得させる

 ストロング系の場合、1缶飲むだけで、厚生労働省が定める成人男性の1日のアルコール摂取量の目安を超える。厚労省はアルコールの質量をg(グラム)に換算した際、その目安を1日「20g程度」としているが、ストロング系に含まれるアルコールの量は度数9%の350ml缶で約25g、9%のロング缶なら36gに達する。

写真はイメージ ©iStock.com

 仮にストロング系を1日に何本も飲み続けていれば、健康リスクが高まる要因の一つになりうる。なかでも危惧されるのは、アルコール依存症だ。

 29歳の会社員の片桐亮太さん(仮名、男性)は、約3年前からストロング系を飲み続け、クリニックを受診したことがあるという。

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「ストロング系は3年ぐらい前から飲み始めました。ロング缶を2本、350ml缶を2本、計4本を毎日飲んでいます。飲まないと眠れないんですよ。以前はコンビニでウォッカを買って飲んでいたんですけど、アルコール度数が37%もあるので、ストロング系のほうがマシだろうと思ったんですが、依存すれば結局同じようなものだと思いますね。そのうち手が震え始め、夜中に夢遊病のように出歩いたり、夜尿症になってしょっちゅう布団を買い替えるようになったりしたので、アルコール問題に詳しいクリニックを受診しました。医師の診断は『依存症』だということでした」(片桐さん)

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 片桐さん自身も「ストロング系を飲むのをやめなければ」と思ってはいるが、結局はやめられていない。自分は昼間から飲んでいない。まだ食欲がある。若いから大丈夫。そうやって自分を納得させ、相変わらず飲み続けているという。

写真はイメージ ©iStock.com

 これまでに紹介したのは、それぞれの個人の体験ではあるが、他人事ではないとも言えるだろう。コンビニに行けば、アルコール類の棚に多くのストロング系が並び、気軽に手に取ることができる。ストロング系の特性を知っておくことで、お酒との向き合い方を考えるきっかけの一つになるかもしれない。