新型コロナウイルスが世界では一向に終息しないからでしょうか、最初に感染拡大した中国に対して、様々な形で不満が出ています。そのひとつの結果として、「情報の海」であるはずのインターネットで、国境のようなものが策定されるかもしれない。そう思う事件が次々に起きています。特にインドの対中関係において、その態度が鮮明です。

インドで広がる中国製アプリ、スマホへのボイコット

インドのスマホ市場は中国メーカーのシェアが高まっている

 インドのインターネット論壇では、「中国製のアプリを手持ちのスマホから消そう、アンインストールしよう、代替の非中国製アプリを利用しよう」という声が、「中国ボイコット系」のハッシュタグとともに駆け巡りました。またインドで人気のXiaomi(小米)をはじめとした中国メーカーのスマートフォン不買の声も上がりました。

 インドでは、中国ブランドの安くてそれでいてそこそこ高性能なスマートフォンが売れていて、そこに中国で培われたスマートフォンアプリが入っていく。そんな中国にとって「おいしく」なるはずのインド市場でボイコットが起きたわけです。

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 現地の状況を聞いてみますと、日本への留学経験もあるモデルのモヒト・ヤダブさん(25歳/デリー在住)は「友人はみんなTikTokを使用していました。SHAREitやUC Browser、Club Factoryを使っている人も多かったですね」「でも今は中国に対する印象はかなり悪化しています。特にラダックでの衝突以降。僕も友人も二度と中国アプリは使いたくないって感じです」と答えてくれました。

中国産アプリを根こそぎアンインストールするアプリまで登場

 6月15日、中国とインドの国境付近で暴力的な衝突が起き、インド兵20人が亡くなる事件が発生しました。国境紛争により多数の死亡者が出たことで、インドでは反中国の気運がさらに高まり、本格的な中国製品ボイコット運動が強まりました。

Xiaomiはインドで人気だが、ピンチに直面している

 そんな中、インドでは「Remove China Apps(中国アプリ削除)」というアプリが登場しました。その名の通り、中国産のアプリを根こそぎアンインストールすることを謳ったアプリで、ネット上では注目が集まりました。Remove China Appsは、Google Playから削除はされたものの、インストールパッケージが各所にアップされていて、ダウンロードしようと思えばいくらでもできる状態になっています。

 中国の必要以上に攻撃的に思える論調で知られる「環球時報(Global Times)」は、中国人の多くが中国からアクセスできないFacebookやTwitterのアカウントで、「中国はインドに比べてどれだけ強いか」、「インド人が行っていることがどれだけ愚かか」を積極的にアピールしています。よせばいいのに国の代表的なメディアが火に油を注げば、結果は見えています。