ネット上で繰り広げられる誹謗中傷合戦
中国メディアがインド人愛国者を煽ることに何の策略計略があるのかはわかりませんが、インド人がカッカして環球時報のつぶやきに対して中国を見下すコメントを英語で書けば、そこに中国人愛国者もインドを見下すコメントを書き込みます。インド人が「中国人は路上生活者が多い」とどこからか引っ張ってきた写真でコメントすれば、中国人は「インド人は土管に住んでいる」と写真でコメントし返すこともあり、その様子は団塊ジュニア以上にはお馴染みのテレビ番組「お笑いマンガ道場」の鈴木義司さんと富永一朗さんとの即興イラストによる誹謗中傷合戦のようでもあります。
中国サイトでは、暑苦しい空間の中で「インド商品を不買したいと思っても何を不買すればいいのかわからない」と皮肉る中国人愛国者のコメントも目立ちます。かつての中国の反日デモでは、日本のブランドのロゴがこれでもかとプラカードに並べられ、大きくバツを書かれたものです。実に多くの日本ブランドが中国に展開したものだと思えました。
インド政府は中国産アプリの公開禁止を発表
個人のボイコット運動なら中国とインドのネチズン同士の戦いでほのぼの見てられるのですが、インド政府や企業も動き出したので、いよいよゆゆしき事態となっています。
インド政府は6月末に、中国の59のアプリについて公開禁止を発表し、インドのGoogle PlayとApp Storeからアプリが削除されました。具体的には、「TikTok」「Kwai(快手)」といったショートムービーのアプリや、日本でも女子に人気の「ビューティープラス」、それに「WeChat(微信)」「Weibo(微博)」「QQ」といったSNSアプリ、Xiaomi(小米)の「Mi Video Call」「Mi Community」、「Baidu(百度)地図」などのBaidu(百度)のアプリ、ゲームの「クラッシュ・オブ・キングス」「モバイルレジェンズ」などが含まれています。
インドのモディ首相は、中国版ツイッター「Weibo」に開設していた公式アカウント(フォロワー約24万5000人)を閉鎖しました。インドの「インターネットサービスプロバイダー協会(ISPAI)」会長は、「(中国資本が入っている企業の)ウェブサイトもブロックすべき」とさらに踏み込んだ発言をしていて、インドの脱中国の勢いは加速しそうです。
中国政府(商務部)は6月30日、インドのボイコットの動きに対して「中国差別のやり方をやめるべきだ」と声明を発表しています。が、中国も他国の行為をとやかく言えるものではなく、むしろ世界中とつながるインターネットの考えを真っ先に否定し、GoogleやYouTube、Twitter、Facebookなど数多くのサイトを中国からアクセスできない処置をしているのはよく知られているところです。