中国が主張する「ネット主権」を実践するインド
それどころか、中国は毎年浙江省の烏鎮で「世界インターネット大会」という中国インターネット企業のトップとアフリカ諸国をはじめとした国々の大臣クラスを集めるイベントを開催しており、「自国のインターネットルールは自分で決める」という「ネット主権」導入を訴えています。中国が「ネット主権」を訴えたのは、世界的なシェアを握っているアメリカの各ネットサービスからの依存をやめて、中国企業が絡んでいるネットサービスを利用してもらおうという魂胆がありました。しかし、まさかインドが反中国に舵をきり、ネット主権の考えの通り中国のアプリをシャットアウトするなんて、中国からすれば思いもよらなかったでしょう。
それどころか、TikTok対抗版とでもいいましょうか、TikTokにインスパイアされたインド産アプリ「Mitron」が、2000万ルピー(約2900万円)の資金調達を発表しました。反中国の流れで、アプリダウンロード数は急増しています。
中国への対抗版、インドアプリの実力は?
「じゃあインドアプリの実力はどうなの?」となるわけですが、Mitronについてはスタートしたばかりで、更新に更新を重ね、どれだけ本家TikTokに迫れるかは未知数です。試しに日本でインストールしてみたのですが動きませんでした。代わりの実力チェックとして、美顔になれる自撮りアプリ「ビューティープラス」のインド対抗版である「インディアン セルフィーカメラ」を見てみます。Peakecorpというニューデリーの企業が作っていて、もともとDSLRセルフィーカメラというのをリリースしていたところ、愛国精神が高まる中で「インディアン セルフィーカメラ」に名前を変えたようです。
ガジェット大好きメイドさんのあやらさんに使ってもらいました。ウキウキした様子で使い始めましたが、やがて出てきた言葉が「どっかの学生が実習で作ったやつか? 企業が本気で作ってるとしたらAndroid2.1の頃のやつか?」とかなり辛口。話を聞いてみると「アプリがしょぼいんですよ。なんとビューティー加工機能にはsmoothing(美肌)かwhitening(美白)しかありません。少なくともAndroid2.3(大昔)のビューティープラスは美肌以外に、それでもクマ消しニキビ消しもあったぞ」とのこと。
ビューティープラスでは目を大きくしたりお化粧風の加工をしたりするほか、様々な効果をつけることができますが、対してインディアン セルフィーカメラはあまりにシンプルで、相当に落差のあるソフトであるようです。