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「常に国民を思い、国民に寄り添い」令和流のキーワード

 天皇陛下は今年2月21日、誕生日を前にした記者会見で「常に国民を思い、国民に寄り添い、象徴としてあるべき姿を模索しながら務めを果たし、今後の活動の方向性についても考えていきたいと思っております」と述べられている。

 また、雅子皇后は昨年12月9日の誕生日に合わせて発表した文書の中で「陛下とご一緒に、国民の皆様の幸せを常に願いながら、寄り添っていくことができましたらという思いを新たにしてまいりました」と綴られている。キーワードはやはり、国民に寄り添っていくというものだろう。

両陛下、初の被災地訪問  宮城県丸森町の仮設住宅を訪問し、台風19号の被災者を見舞われる天皇、皇后両陛下 ©共同通信社

終戦後に昭和天皇が始めたご巡幸に通ずるもの

「地震大国と呼ばれる日本において、温暖化に伴う近年の豪雨被害も相まって、両陛下は被災地のお見舞いを最も重要なお務めの1つとお考えです。その根底にあるのが国民に寄り添うというお考えなのだと思います。これは、終戦後の1946年から昭和天皇が始めたご巡幸に通ずるものです。昭和天皇は敗戦で沈んだ国民の心を癒やし、復興に向けて前を向くように励ますため、返還前の沖縄を除く46都道府県を1954年まで8年かけて回ったのです。

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 まさに国民に寄り添い、日本の復興のために先頭に立って国民を元気付けたわけです。このなさりようは上皇陛下に受け継がれ、上皇・上皇后両陛下は戦争犠牲者の慰霊の旅に加え、昭和時代には戦前は侍従が、そして戦後は三笠宮さまなど皇族方が昭和天皇のご名代として訪問していた被災地についても、長崎・雲仙普賢岳の噴火(1991年)を皮切りに、阪神淡路大震災や東日本大震災などの被災地のお見舞いを重要なお務めと位置付けられました。天皇・皇后両陛下は、これをしっかりと受け継がれているのです」(同前)

熊本大雨被害  陥没した道路に落下した道路標識 ©共同通信社

 それだけに、熊本豪雨の被災地訪問が新型コロナ禍のためにままならないであろうことに、天皇・皇后両陛下は心を痛められているというわけだ。レムデシベルやアビガン、アクテムラなど、効き目に期待が寄せられている治療薬はあるにはあるが、まだ不透明な状態にある。ワクチンも年内は困難となると、両陛下は被災者に寄り添うために、別の手段を編み出されるしかないが、果たしてそんな手段があるのだろうか。