結果は図表にまとめたが、それを見る前に自分ならどうするか想像してほしい。
あなたは大学生で、自分のことをかなり魅力的だと思っている。キャンパスの中庭のベンチに座っていると、いきなり若い男性、あるいは女性が話しかけてきた。とびきりの美男・美女というわけではないものの、さわやか系ではある。
「キャンパスで見かけてから、ずっとあなたのことが気になっていたんです。とても素敵だから」
そういわれたあとに、「デート」「アパート」「ベッド」のどれかの科白をいわれる。
答えを決めたら、実験結果を見てほしい。あなたは多数派だろうか、少数派だろうか。
デートに応じる女子学生は半数超
実験は4年の間隔を置いて2回行なわれ、男子・女子それぞれ48人がナンパされた。表は1回目のデータだ。
まず目を引くのは、デートに応じる女子学生が半数を超えていることだろう。若くて魅力的な女の子は、男子学生から誘われると、その日の夜の予定がとくになければ、かなりの確率でデートしてもいいかなと思うようだ。1970年代のアメリカでは、すくなくともキャンパスでのナンパは報われたのだ。
あなたが女性なら、見知らぬ男のアパートに行くことを了承した女子学生がいることに驚くだろう。じつは研究者もこれには疑問を持って、1982年に2回目の実験を行なったところ、誘いに乗った女性は1人もいなかった。
当然のことながら、「セックスしない?」といきなりいわれた女子学生は全員が断った。「冗談でしょ」とか、「頭おかしいんじゃないの? ほっといてよ」と怒り出すこともあった(あとから心理学の実験であることが説明された)。
男子の反応は?
ここまでなら、「まあ、そんなものかな」と思うかもしれない。物議をかもしたのは、若い女性から「逆ナンパ」された男子学生の異様な反応だ。
半数がデートに応じ、半数が断るのは女子学生とほぼ同じだ。アルバイトなど、その日の夜に別の用事が入っていたのだろう。ところが、デートを断った(であろう)男子学生の4割(全体の7割)は、「私のアパートに来ない?」という誘いにはOKするのだ。
それでもまだ3割の男は、この誘惑にも耐えた。恋人とのデートなど、大事な約束があったのかもしれない。しかし潔癖なはずの学生の6人に1人は、「いっしょにベッドで過ごさない?」と誘われると、その大切な用事を喜んで放り出したのだ。