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「棋士は遅い時間になればなるほどテンションが上がる」AbemaTVトーナメントの舞台裏
ABEMA将棋チャンネルプロデューサーに聞く #2
最近は将棋の知識を増やすことに貪欲になりました
――番組のエンドロールには監修として、鈴木大介九段、野月浩貴八段、西尾明七段のお名前が出ています。この先生方と番組のかかわり、どのような仕事をしてもらっているか教えてください。
谷井 日本将棋連盟理事でもある鈴木九段、西尾七段のお二人には、ABEMAとの相談の窓口になっていただいています。野月八段には、将棋AIを使った表示をどう扱うか、画面の見せ方やルールなどかなり細かい実務的な内容の相談をしています。チャンネル立ち上げ時には遠山雄亮六段にも関わっていただきました。
――将棋をよく知るために取り組んでいることはありますか。
塚本 中継はもちろん、めちゃめちゃよく見ていて、自分なら次はどう指すか考えたりします。ですが、指す機会はないので棋力は何級かよく分からないままです(笑)。
谷井 最近は、棋士のことをもっと知りたいと調べたり、将棋の知識を増やすことに貪欲になりました。棋書も買って、今は菅井竜也八段の研究をまとめた「菅井ノート」を読んでいます。ただ、高段者向けで、私には難し過ぎてなかなか理解できません(笑)。この本が理解できるくらいの棋力を身に付けたいです。
「将棋の子」(元「将棋世界」編集長・大崎善生氏のノンフィクション。奨励会でプロになれず退会した青年が主人公)も好きな本で、職業でプロになるという制度において将棋は世界一と言ってもいいくらい厳しいと思いました。棋士の対局の映像を取り扱う身として、そういった背景を意識した番組作りをしていきたいと考えています。
第4回は将棋ファンをさらに増やせるようなものにしたいですね
――最後にこれから将棋チャンネルでやってみたい企画があれば教えてください。第4回AbemaTVトーナメントの予定はあるのでしょうか。
塚本 第4回もやるつもりではありますが、まだどんな形になるかは未定です。第3回では、新たな試みで、多数の棋士の魅力を掘り下げることができましたし、大きな手ごたえを感じています。第4回は将棋ファンをさらに増やせるようなものにしたいですね。将来的にはもっと将棋を観るのを当たり前にしたいですし、できるならば、放送だけでなく実際に参加できるようなイベントもやってみたいですね。今回は、日本将棋連盟さんと協力して、チームのTシャツや、クリアファイルを販売することができました。またグッズなどの取り組みで、ロイヤリティーを上げていくことができればいいなと思っています。
谷井 第3回では、棋士36人に参加していただきましたが、他に約135人の棋士がいらっしゃいます。より多くの棋士の方々の魅力を知ってもらえるような企画ができればと考えています。
写真=杉山秀樹/文藝春秋
塚本泰隆(つかもと・やすたか) 33歳。麻雀プロ資格を過去に持ち、麻雀チャンネル、将棋チャンネルのプロデューサーを務める。4年前に転職してサイバーエージェントに入社。将棋チャンネルの立ち上げ、麻雀のナショナルプロリーグMリーグ立ち上げの他、ABEMA寄席など特別番組にも多く関わっている。AbemaTVトーナメントは第1回から担当している。
谷井靖史(たにい・やすし) 38歳。2007年サイバーエージェントに新卒入社し14年目。Webエンジニア、携帯ゲーム事業のプロデューサー、マネージャーを務めた後、将棋チャンネルに異動して3年目。主に生放送、編成を仕切る。6歳の頃から将棋が好きで、棋力はアマ初段。三間飛車党。