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“不幸にも”第1志望に受かり続けた親子の末路……中学受験「良い先生、良い親」の条件とは

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おおた 第二志望に進むことになったとか、必ずしも思い通りにならない経験をしたときに、それでも親が変わらず自分のことを愛してくれて、誇ってくれていることに気付いて、自分自身の普遍的な価値に確信がもてるようになるはずなんですが、そこに確信がもてないまま大人になってしまうひともいるようなんです。いわゆる“いい学校”の先生からそういう話を聞いて、私も「なるほどな」と思いました。ですからこのシーンは、中学受験に限ったことではなくて、子育てにおける1つのハイライトだと思うんです。

高瀬 なるほど。

「私たち塾講師って、そういう存在」

おおた これは第9集に収録されるのかと思いますが、第77話で桂先生が「私たち塾講師って、そういう存在」って言うシーンがありますよね。要するに、あれだけ毎日いっしょに頑張ったのに、中学受験が終わると生徒やその保護者との関係が終わってしまうという話です。

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高瀬 はい、あります。

おおた 私自身の中学受験、35年前の話に飛びます。私が中学受験塾で大好きだった社会の先生がいました。でも私が高校生だったか大学生だったかのときに若くして亡くなってしまうんです。どこから聞いたのかわからないのですが、母親がそれを知って、先生のご自宅まで訪ねて、お線香をあげに行ってくれたんです。それがうれしかったのを覚えています。自分のことをかわいがっていつも見ていてくれた先生に対し、時間が経っても親が恩義を感じてくれているということが、中学受験という過去の経験をなおさらにいいものにしてくれたというか……。うまく言えないんですけれど。

高瀬 いい話ですね。

おおた 中学受験って6年生の2月で終わりじゃないんですよね。だから、できることなら、中学受験が終わってしばらくして、親子でお世話になった塾の先生に会いに行くって、中学受験を頭の中の「いい思い出」という引き出しにしまううえで、とっても重要なんじゃないかって思うんです。

(【続き】「コロナは他人を出し抜くチャンス?」激変する中学受験事情、親子が“壊れない”ための心構え を読む)

“不幸にも”第1志望に受かり続けた親子の末路……中学受験「良い先生、良い親」の条件とは

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