7月15日、第163回芥川龍之介賞(日本文学振興会主催)の選考会が東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、高山羽根子さんの『首里の馬』(「新潮」2020年3月号掲載)と、遠野遥さん『破局』(文藝 夏季号)が選ばれた。

 高山さんは、第160回芥川賞での『居た場所』(「文藝」2018年冬号掲載)、第161回『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』(「すばる」2019年5月号)に続く3回目の候補入りだった。

高山羽根子さん

 遠野さんは、2019年『改良』で第56回文藝賞を受賞し小説家デビュー。今回の『破局』は初の芥川賞候補入りで受賞となった。

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遠野遥さん

《高山羽根子さんプロフィール》

1975年生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科卒。2010年『うどん キツネつきの』が第1回創元SF短編賞の佳作に選出される。同年、同作を収録したアンソロジー『原色の想像力』(創元SF文庫)でデビュー。16年『太陽の側の島』で第2回林芙美子文学賞受賞。

〈作品〉『うどん キツネつきの』2014年東京創元社刊=第36回日本SF大賞最終候補。『太陽の側の島』16年婦人公論4月12日号。『オブジェクタム』18年小説トリッパー春季号、単行本は18年朝日新聞出版刊(『太陽の側の島』併録)=第39回日本SF大賞最終候補。『居た場所』18年文藝冬季号=第160回芥川賞候補、単行本は19年河出書房新社刊。『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』19年すばる5月号=第161回芥川賞候補、単行本は19年集英社刊。『如何様』19年小説トリッパー夏季号、単行本は19年朝日新聞出版刊=第41回野間文芸新人賞候補。

『首里の馬』(「新潮」2020年3月号より)

《遠野遥さんプロフィール》

 1991年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。2019年「改良」で第56回文藝賞を受賞しデビュー。

〈作品〉「改良」2019年文藝冬季号、単行本は同年河出書房新社刊。

『破局』

 芥川龍之介賞は、菊池寛(明治21年~昭和23年)が直木賞とともに、昭和10年に制定したもの。雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品のなかから、最も優秀な作品に贈られる。正賞は懐中時計、副賞は100万円。

 現在の選考委員は、小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・平野啓一郎・堀江敏幸・松浦寿輝・山田詠美・吉田修一の各氏が務めている。

■第163回芥川龍之介賞 候補作(掲載誌)※作者五十音順・敬称略

石原燃「赤い砂を蹴る」(文學界 6月号)
岡本学「アウア・エイジ(Our Age)」(群像 2月号)
高山羽根子「首里の馬」(新潮 3月号)
遠野遥「破局」(文藝 夏季号)
三木三奈「アキちゃん」(文學界 5月号)