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――全然知らなかったです。確認したところ、『僕はチャイナタウンの名探偵』という仮の邦題がついているようですね。3作目には妻夫木聡、長澤まさみ、浅野忠信が出演。「2」から日中ハーフの探偵役で出演されている妻夫木さんの元へ、「チャイナタウンの名探偵」2人組がやってくるというあらすじのようです。

『三体Ⅱ 黒暗森林 上』

島田 このシリーズは陳思誠(チェン・ スーチェン)監督が脚本も務めているんですが、日本のミステリーが好きな方なんですよ。過去の2作は中国の友人からもらったDVDで見ているんですが、日本のミステリー作家の名前がいくつか出てくるんですね。

 うろ覚えだけれども、おじさんが誰かを追いかけて部屋に入り込んだところで、「日本のミステリー作家の歌野晶午によれば、こういう時男は天井に隠れているぞ」とか、「青崎有吾によればドアの陰だ」とか、確かそんなことを言うんですよ。なかなか面白かったので、ウェイボーで「『唐人街探案』が面白かった」と書いたら、日本の映画関係者を通じて陳さんから連絡があって、会いたいと。ひょんなことから彼と仲良くなったんですね。

 ある日、「北京に来てくれ」と言うから「何ですか?」と聞いてみたら、「『3』にちょっと出てくれ」と。日本の作家が中国映画に出るという、なかなか珍しいことになりました(笑)。中国で私は最近知られているので、「島田荘司先生はどこに出ているでしょう?」という企画をやるんだ、みたいなことを言っていましたね。

中国で名探偵映画が人気沸騰中

――日本でも公開して欲しいです。

島田 東京でも撮影をしたけれども、渋谷のスクランブル交差点でおおっぴらに撮影はできないじゃないですか。そこで栃木県の足利市に、大々的に渋谷のスクランブル交差点のオープンセットを作って撮影したそうです。さすが中国ですよね。スケールが違います。

――最後にお伺いしたいことがあります。実は『三体』を読んだ時に思い出したのは、島田さんの『Classical Fantasy Within』シリーズなんです。08年から10年にかけて3部(8巻)まで執筆された大河ファンタジーシリーズですが、調べてみるとまったく同じ時期に劉慈欣は中国で『三体』の3部作を刊行しているんです。同じ匂いがするんですよ。なので……まだ発表されていない最終第4部『メガロポリス・エド』はどうなっているのでしょうか!?

島田 冒頭の数百枚書いたところで、諸事情があって中断したんです。でも、確かに第1部から第3部までの世界の成り立ちというか、世界の謎そのものはまだ明かしていないですからね。20年は結構予定が詰まっているので、じゃあ再来年くらいには(笑)。思い出させていただいて良かったです。

――その頃には、『三体』の3部作の翻訳も出揃っているのではと思います。再来年、本誌で改めて取材させてください(笑)。

全世界で異例の大ヒット。日本でも13万部突破!

『三体』
劉慈欣(りゅうじきん)
大森 望、光吉 さくら、ワン・チャイ=訳/立原 透耶=監修

父は文化大革命で惨殺され、自らも無実の罪で投獄された葉文潔。人類に絶望した科学者が、異星文明とのコンタクトに成功した時、何を願ったのか? 舞台は数十年後の現代へ――。世界最大のSF文学賞「ヒューゴー賞」長編部門をアジア圏の作品として初受賞した。早川書房 1900円+税