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華文ミステリー必読の9冊

【1】虚擬街頭漂流記

 

寵物先生(ミスターペッツ)
玉田誠=訳

2020年の台北。仮想世界のショッピングモールで血を流して人が死に、その人物を操作していたモニター男性が死んだ。誰が、なぜ、どのようにして殺人を決行した(できた)のか? モルグ街から虚擬街へ。「21世紀本格」の模範解答とも言える、第1回島田賞受賞作。文藝春秋 1800円+税

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【2】世界を売った男

 

陳浩基(サイモン・チェン)
玉田誠=訳

ある朝、車の中で目覚めた刑事は、6年間の記憶を失っていた。「6年前」に起きた夫婦惨殺事件の捜査を続けるが、犯人とされて死んだ男は真犯人ではない、と理由の分からない確信を抱いていた――。第2回島田賞受賞作。必読の巻末解説は直木賞作家の恩田陸。文春文庫 840円+税

【3】ぼくは漫画大王

 

胡傑(こけつ)
稲村文吾=訳

家出していた妻が自宅に戻ると、夫が殺され息子は密室に閉じ込められていた――。奇数章では漫画好きの小学生“健ちゃん”、偶数章では鬱屈した会社員“方志宏”の人生が語られる。2つの世界はどのような関係にあり、事件と繋がるのか? 第3回島田賞受賞作。文藝春秋 1300円+税

【4】逆向誘拐

 

文善(ぶんぜん)
稲村文吾=訳

国際投資銀行A&Bから機密データが「誘拐」された。返して欲しければ「身代金」を用意しろ――。犯人の協力者が社内にいる可能性が高まり、情報システム部の植嶝仁も軟禁状態に。真犯人の正体を暴こうと試みるが。第3回島田賞に輝くサイバーミステリーの新機軸。文藝春秋 1200円+税

【5】

 

雷鈞(らいきん)
稲村文吾=訳

第4回島田賞受賞作。ドイツに暮らす盲目の中国人青年・阿大が僻地の山村で起きた“男児眼球摘出事件”の謎を探る――。中国人が書く、中国人が主人公の物語だからこそ可能となったサプライズは、「歴代島田賞受賞作の最高傑作!」(オビ文)にふさわしい。文藝春秋 1800円+税

【6】13・67

 

陳浩基(サイモン・チェン)
天野健太郎=訳

2013年から1967年へと時間が巻き戻る「逆年代記」を採用した全6編の連作短編集。「天眼」と呼ばれる名刑事=名探偵クワンと愛弟子ローの前に、香港という土地のそれぞれの時代ならではの事件が現れ、解かれ、人間ドラマが爆発する。第2回島田賞受賞後第1作。文藝春秋 1850円+税

【7】元年春之祭

 

陸秋槎(りくしゅうさ)
稲村文吾=訳

天漢元年(紀元前100年)の春、旧家で発生した連続殺人事件の謎に天才少女・於陵葵が迫る。終盤に「読者への挑戦状」が2度挿入される構成の妙や、少女たちの特別な関係性を愛でる「百合モノ」としても高い評価を得て、2019年本屋大賞翻訳小説部門第2位に。早川書房 1500円+税

【8】知能犯之罠

 

紫金陳(ズー・ジンチェン)
阿井幸作=訳

市公安局副局長の死を皮切りに、予告状通りに官僚たちが殺される。捜査の指揮を執る高棟は、犯罪心理学を学んでいた旧友・徐策に協力を要請するが、彼こそが犯人だった。警察小説でありつつ、犯人視点を採用した“倒叙モノ”でもある、「官僚謀殺」シリーズ第1弾。行舟文化 1850円+税

【9】現代華文推理系列(第一~第三集)

 

御手洗熊猫(ユーショウシーションマオ)、水天一色(すいてんいっしき)、林斯諺(りんしげん)、寵物先生ほか
稲村文吾=訳

華文ミステリーの名翻訳者がセレクト&本邦初訳したアンソロジー。島田荘司の名探偵の名をモジった御手洗熊猫(パンダ)、中国ミステリー専門誌の女性編集者でもある水天一色ほか、総勢11名がラインナップ。日本ミステリーからの影響も一望できる。Kindle版のみ 全3巻 各500円+税

 

text:Daisuke Yoshida

三体

劉 慈欣 ,立原 透耶 ,大森 望 ,光吉 さくら ,ワン チャイ

早川書房

2019年7月4日 発売

三体Ⅱ 黒暗森林 上

劉 慈欣 ,富安 健一郎 ,大森 望 ,立原 透耶 ,上原 かおり ,泊 功

早川書房

2020年6月18日 発売

三体II 黒暗森林 下

劉 慈欣 ,富安 健一郎 ,大森 望 ,立原透耶 ,上原 かおり ,泊 功

早川書房

2020年6月18日 発売