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《三浦春馬さん追悼》恩人が明かす“天才子役時代”とその後の苦悩「役に入りすぎて不安定になることも」

genre : エンタメ, 芸能

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 映画「森の学校」は、昭和初期の丹波篠山(兵庫県篠山市)を舞台に、三浦さん演じるやんちゃなガキ大将が命の尊さや家族の絆の大切さを知り、成長していく姿を描いた作品だ。

「森の学校」出演時の三浦春馬さん(左) (「森の学校」予告編より)

知人から聞いた評判「天才的な子役がいる」

「彼の出身地の土浦(茨城県)に知り合いがおりまして、『天才的な子役がいる』と以前から聞いていました。紹介を受けて実際に会ってみると、本当に魅力的な子でした。そのときから春馬君は素晴らしいものを持っていて、特に感性が豊かだった。こちらが言ったことを2倍、3倍に深く理解して、演技で答えてくれる役者でした。接していてもピュアで繊細で、あんな子はもういないんじゃないかというくらい素晴らしかった。

 撮影のずっと前から私は『春馬くんを主役に』と決めていて、他の子役はオーディションで決めました。春馬くんは坊主頭の役だったのですが、彼は髪を剃るのがとても嫌だったらしくて、悩んでしまいましてね。私が『坊主にならんとキャスティングしないから。他の子を探すから』ってわざと突き放したら、撮影に入る直前の1、2週間前に『やります!』って言ってくれて、ホッとしたのを覚えています。撮影の合間に坊主になってきて、それからは吹っ切れたようでした。本当に爽やかな子でしたよ。それだけに心から残念です」

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坊主頭の三浦春馬さん (「森の学校」公式サイトより)

 その後、三浦さんは2008年にドラマ「ごくせん」(日本テレビ系)、2015年に映画「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」など話題作に出演。2008年に映画「恋空」で日本アカデミー賞新人俳優賞、2015年に映画「永遠の0」で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞し、名実ともに日本を代表する俳優として活躍した。

 数々の作品に出演した三浦さんだが、「ストイックに役に入り込むことが多かった」と事務所関係者は語る。

「作品では役に入りすぎることがあり、撮影が終わってもしばらく役を引きずってしまうタイプでした。だから、撮影後には『役抜き』の期間を設けていた時期もあります。特に2014年に三浦が主演したドラマ『僕のいた時間』(フジテレビ系)への向き合い方は真剣そのものでした。この作品では車椅子で移動する筋萎縮性側索硬化症を患う役を演じていました。筋肉が衰えて呼吸困難になり、最後は人工呼吸器を付けなければいけない難病です。これは三浦が『命を題材にした役を演じたい』と熱望して決まったんです」

 当時、三浦の“役への思い”の深さは相当であったという。

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