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夫は“スピリチュアル”、妻は“マクロビ”

 陵は02年、茨城大理学部に入学。大学を休学していた06年1月、「自分とは何か」と題した著書を自費出版した。同書は原爆や貧困、宗教などを論じたスピリチュアルな内容で、終章では〈宗教や哲学を始めとした様々な世界を一くくりにして論じてきました〉と自著を総括。人類が〈科学という名の神〉によって100年以内に滅亡するとも綴られている。

陵が出版した本

 その後、神奈川県で新聞配達員等を経て、13年頃、巡り合ったのが麻理乃だった。麻理乃は長野県諏訪郡出身。同級生の母親が語る。

「昔から品行方正で頭がよく、綺麗な子でしたよ」

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 陵と出会った頃は、日本古来の健康食に陰陽の思想等を加えた「マクロビオティック」に傾倒。自然農法、脱石油の美容品、着物などに強い関心を持っていた。

 ナチュラル志向の二人は次第に関係を深めていく。麻理乃が綴っていたブログによれば、もともとフランス人のパートナーがいたが、〈いよいよ籍を入れるぞというときに、それを覆すような出会いがありました〉(13年9月)

畑で収穫する麻理乃容疑者(ブログより)

 以降、ブログには、インドにも行ったことがあるという「京ちゃん」が度々登場するようになる。

 二人を知る男性の話。

「長野県内でシェアハウスを建てる企画で知り合ったんじゃないかな。陵さんは静かな中にもガッツのある人、麻理乃さんは料理が上手で明るい人という印象です。意気投合して交際が始まり、結婚するまで長野にいましたが、その後は陵さんの実家のある北海道に移り住むと聞きました」

 逮捕時は夫婦とも無職で、「ご主人は短期間で職を転々としていたようです」(前出・知人)。周囲には子煩悩な夫婦に見えたが、実は重大な罪を隠していたのだ。