都民が消えて「Go To」は効果薄?

 イベント以外で米軍関係者に人気のある娯楽の一つが海のレジャーだ。

 人気スポット、恩納村の青の洞窟を中心にシュノーケリングやダイビングを案内するダイビング業者「サマー」の代表取締役で、「サマーリゾート沖縄」を経営する小川拓朗さん(36)は、こう話す。

「任期の入れ替わりがある米軍関係者は、マリン事業では、新規のお客さんとして獲得できるので、一定のマーケットにはなっています。ただ、米国の本国で感染が拡大していたので、業界では、沖縄の米軍関係者にももしかしたら広がるのではないかと受け入れは不安視していました。今後、民間にも感染が広がっていかないだろうかと不安はやはり残ります」

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海のレジャーもこの半年大きな影響を受けた(写真は真栄田岬) ©OCVB

 旅行需要として、米軍関係者へ一定の期待はあるものの、先述した通り5万人ほどで、2019年の沖縄への入域観光客数は1016万3900人と比べると0.5%ほどにしかならない。

 ただ、沖縄県が6月、落ち込んだ旅行需要の早期回復を図るため、沖縄県民145万人向けに沖縄の旅行商品を使える「おきなわ彩発見」をリリースし、予約が殺到した。小川さんの店では、このサービスを利用した県内在住者が増えた。

「沖縄県民は海に入らない人が多いですが、初めてシュノーケリングやダイビングを体験した人が多くいました。これから、観光客から地元の人たちが利用してくれる可能性がでてきたのは期待が持てます」(小川さん)

 沖縄はコロナ禍の4月、外国人観光客はゼロ、国内客は昨年の60万人から一気に減り、7万7300人で、国内外合わせて対前年同月比で90.9%減、過去最大の減少幅だった。5月も94.7%ダウン。沖縄県の観光を振興する一般財団法人「沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)」は6月24日、7月後半から本格的な回復基調になると予測。8月には国の支援策「Go Toキャンペーン」も始まることから、期待も込めて前年同月の5割まで回復と予測していた。

 7、8月は夏休みも被り、休みやすい上に、沖縄の観光では海のレジャーも楽しめて、受け入れの単価も高いトップシーズンだ。
 
 小川さんの会社もコロナ禍で4、5月は臨時休業、6月は前年比の1割、7月に入ってから予約は入ってきているものの、前年比の3~4割にとどまっているため、「Go To」への期待はあった。ただ、「複雑」だと心境を吐露する。

「生きるためにはサービス展開をしていかないといけない。でも、Go Toキャンペーンは収束してからやってもらったほうがいいと思っています。今、沖縄に来ている観光客の中には、内緒で来ている人たちも多い。『沖縄に行った! 綺麗な海!』とSNSでアップしたいのに、後ろめたくて、それもできない。そういう心理が働いているうちは、利用する人もかなり少ないのではないでしょうか」と見る。