米軍での感染拡大の「まさか」と「やっぱり」
沖縄の米軍関係者は、必ずしも米軍基地内で暮らしているわけではない。
2013年3月時点で、沖縄県にいる軍人と軍属、その家族の計5万2092人のうち、基地の外に住んでいるのは、32%の1万6435人だった。2013年以降、米軍や防衛省が数字を公表していないため、詳しい実態は分からないが、沖縄県民の暮らしの中で、レストランやバーや公園で、会うことは日常的にある。とりわけ珍しいことではない。
沖縄では、米軍関係者による事件・事故が多発し、反基地感情は大きいものの、日常生活で出会う米軍関係者、個々人に対しても反基地感情がわき上がるかといったらそうではない。例えば、沖縄県内のインターナショナルスクールでは、沖縄県民の子どもも米軍関係者の子どもも一緒に学んでいるし、場面、場面で沖縄県民それぞれが色んな感情を持って接しているので、はっきりとした分かりやすい二項対立ではないことを理解してもらいたい。
そのような中で、米軍関係者が米国から直接、在日米軍基地に入国する際、無症状者のPCR検査を実施していないことが15日判明した。日米地位協定で検疫についての国内法が適用されないためだ。
沖縄の玉城デニー知事は15日に上京し、官房副長官や関係閣僚に基地内の感染拡大を防止する対策を徹底するように求めたが、18日にはすでに、感染が分かった米軍関係者の少なくとも約3分の1に当たる46人が、基地の外で行動していたことが明らかになった。
ただ、一口に米軍関係者と言っても、感染の拡大の原因が、沖縄に異動で来た人なのか、以前から沖縄に住んでいた人なのか。
7月4日、米国の独立記念日に、バーベキューパーティーや数百人規模のダンスイベントがあり、多くの米軍関係者らが参加していたことが分かっているものの、まだ詳細はつかめていない。
沖縄県民も戸惑う。
感染が広がっている普天間飛行場のある、宜野湾市のイタリアンバルで働く26歳の女性は「まさか」と思う一方で、「やっぱり」とも思ったと話す。
「緊急事態宣言が出る前、沖縄県内で感染が広がっていたとき、当時は県外からきた日本人のお客さんは、感染を心配して入店を断っていたけど、米軍関係者も大事なお客さんだし、感染対策は大丈夫だろうと思ってお店に案内していたので、今回はまさかという気持ちです。ただ、米軍関係のお客さんはイベントが大好きだし、元気な人が多いから、独立記念日の音楽イベントの件もあって、やっぱり、という気持ちもある。先週末も米軍関係のお客さんが来ていたので、万が一感染していないか、他のお客さんにも移っていないかとても心配です」