逆風が吹き荒れている政府肝いりの「Go Toトラベルキャンペーン」。首都圏を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大する中、7月22日のスタートには賛否両論の声が上がる。沖縄も例外ではない。

 緊急事態宣言下の4月、玉城デニー県知事が《沖縄は非常事態宣言の体制で充分なおもてなしは到底できません。離島を含め医療体制も非常事態です。どうか今の沖縄への旅はキャンセルして受け入れ可能な時期までお待ち下さい。stayhome weekして下さい》とツイッターで呼びかけたという経緯もある。10年以上にわたり故郷・沖縄を取材し続ける「沖縄タイムス」の與那覇里子記者が、現地の観光産業の“生の声”をリポートする。

いよいよシーズンになる沖縄。観光業は正念場を迎える ©文藝春秋

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地元民でにぎわいはじめた那覇の歓楽街

 5月25日、緊急事態宣言が解除されてから、沖縄・那覇の夜の街には人が戻り始めた。

 移動が制限されていたことやコロナの感染者が沖縄で出ていないことで、那覇の歓楽街ではお酒を酌み交わす地元の人たちでにぎわっていた。これまでなら、ビーチサンダルにショートパンツといった、沖縄のリゾートを満喫するファッションの観光客の姿も見られるけれど、さすがに目には入らなかった。

 安心して外に出かけられたし、6月に入ると、筆者は満席で断られることも数回経験した。

 その歓楽街から徒歩10分。例年なら観光客であふれている国際通りは、ほとんどの店のシャッターが下り、人通りはほとんどなく、にぎわいは対照的だった。

緊急事態宣言中の国際通りの様子(4月17日、筆者撮影)

 6月19日、沖縄への来県自粛が全面解除。観光客の姿をちらほらと見かけるようになった。

 沖縄観光のトップシーズンの7月に入ってからは、団体客を乗せた大型バスも走っているのを見るようになり、モノレールや歓楽街でも、若いカップルや高齢夫婦の日本人観光客を見かけるようになった。

 地元の人がなかなか行かないビーチに行けば、日本人観光客のレンタカーやマリンスポーツが好きな米軍関係者の車がずらり。

 徐々に活気が戻ってきた。

うるま市内のビーチの様子(6月28日、筆者撮影)

 そう思っていた矢先の7月8日、沖縄県民から69日ぶりの感染者がでた。9、10日には東京、埼玉からの観光客からも感染者が出た。

 さらに、7月7日から沖縄の米軍関係者に感染が拡大。11日までのわずか5日間で61人が感染。7月以降の感染でみると、17日までの感染は138人に上っている。

 16日には、米海兵隊のキャンプ・ハンセンに出入りする80代のタクシー運転手が感染。米軍関係者にクラスターが発生していたことがわかった7月8日以降、沖縄県民に感染した初めての事例とみられる。