離島は「高齢者が多く、医療体制は手薄」
沖縄観光は、沖縄本島だけではない。海が豊かな離島にも多くの観光客が訪れてきた。ただ、高齢者が多く、医療体制は手薄で、一度、感染が広がると、交通や物流の要である船便がストップする懸念もある。
沖縄で観光による地域づくりを目指す「DMCアイランド・スマイル合同会社」を経営する町田卓二さんは「多くの人は、感染拡大している首都圏から呼ぶのは今ではないと思っていると思います。Go Toキャンペーンが、同一の道府県内で、道府県をまたがない旅行にも使えるということを強調したほうがいいのでは」と指摘する。
「全国規模の大手旅行会社や鉄道会社、航空業界がこのキャンペーンに期待していたであろう、都道府県境を超えた人の移動による、当初のもくろみは期待できないかもしれない。一方で、ホテルや飲食業者の苦境を知っているからどうにかしたいとも思っている。住んでいる道府県で、道民、府民、県民を守るという気概で地元民によるマイクロツーリズムのためにGo Toキャンペーンを使ったらいいと思います」(同前)
17日には、赤羽一嘉国土交通相が、重症化しやすい高齢者、若者の団体旅行は割引対象から除外すると表明した。
揺れる「Go To」に、沖縄はどのように向き合えばいいのだろうか。
沖縄の観光にも詳しい観光政策研究者の山田雄一さんは「お客さんをセレクションしたほうがいい」と提言する。
「Go Toは割引率が高いところにお客さんが流れる傾向があると推測されます。関東圏であれば、北海道か沖縄への観光客が多いはず。ただ、今回、東京都が除外されると、沖縄には15~20%がそもそも来られないという試算もあります。沖縄としては当てにしているところが抜けてしまうので、効果が出にくいと思います。感染が拡大しないか不安な県民感情としても受け入れはつらいところもあるから、にっちもさっちもいかないですよね。
ただ、沖縄旅行に行く前の2週間は、健康管理してもらって、夜の街、接待に行かないでほしい、節制してほしいとお願いしたらいいのではないでしょうか。緊急事態宣言中、沖縄のことが好きなお客さんたちは、沖縄を守ろうと協力していた。沖縄県側から、健康管理に協力してくれた皆さんはウェルカムですよという呼びかけがあるかないかが、今後の肝になってくると思いますよ」
「観光」は沖縄経済の要。「Go To」に期待していた分、国の準備不足、感染拡大の余波は、スタート前にも関わらず落胆に変わっている。観光業者としては来てほしい、でも一県民として生活者の顔もある。彼らはもろ手を上げて「賛成」とも言いきれない。
ただでさえコロナ禍で苦しんでいるところに、二転三転の「Go To」に翻弄された観光業界。私たちはどう支えていけばいいのだろうか。