日本人が追い求める「健康美」
「そもそも、日本人が思う『美』とは何なのか。日本のお客さまに『美容において何を重要視していますか?』と質問すると、『肌』と答える方が非常に多くいらっしゃいます。ところが欧米では考え方が違っていて、『自己表現』が重要視されている。アメリカではマスカラやアイシャドウなどの目元を印象的に見せる化粧品、ヨーロッパだとフレグランス(香水)が好まれます。
日本の方は恐らく、外に出掛けて人と会う時に、エチケットとして綺麗に、清潔にしていたいという思いがある。ですから、最近は洗顔料の売り上げが伸びていると聞きます。東洋医学がベースになっていると個人的に予想しているのですが、バランスのとれた食事、質の高い睡眠、ストレスのない生活……そういったもののトータルから生まれる『美』を追求したいという文化があるのです。元々そのような価値観があったところに、新型コロナウイルス感染症の流行によって、さらに『健康』や『免疫』がクローズアップされるようになりました。その結果、ますます『健康美』というものが注目されてきています」
これらを踏まえ、資生堂は今後「トータルビューティー」をキーワードに、「美」と「健康」を結びつけるようなサービスや事業を模索していくという。
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他にも魚谷氏が、経営での「攻め」と「守り」の姿勢についてや、これまで中国を中心としてきたグローバル事業の行方、コロナ禍での「働き方改革」と若者の可能性などを語ったインタビュー「新しい日常の『美』を追求する」の全文は、「文藝春秋」8月号及び「文藝春秋 電子版」に掲載されている。
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新しい日常の「美」を追求する