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それって本当に身体にいいの? 現役美容師が解説する「オーガニック」「ボタニカル」の落とし穴

2020/07/24
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身体に合わないこともある

 オーガニックは安心、安全なイメージが強いですが、どんな人にも合うわけではありません。

 日常的にメイクをする女性にとっては特に身近な話題だと思いますが、身体(皮膚)との相性のようなものが存在しています。下地やファンデーション、シャドウやリップ、洗顔料や化粧水など、

「あのメーカーのはかぶれたことがあるから、怖くて使えない」

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「ステキな色だけど、海外のブランドは相性が悪い」

 と、使い心地の肌感覚は最重要です。

 

 化学成分だけではなく、植物由来のオーガニック成分もまた、炎症やアレルギー反応を起こしてしまうことがあります。

 アレルギーというと、一番身近なのは花粉症でしょうか。スギ、ヒノキ、ブタクサなど、国民病と呼ばれるほど多くの方が辛い思いをしているかと思います。

 皮膚への影響というと、例えば金属アレルギー。時計やネックレス、ピアスなどの装飾品によってかぶれを起こしてしまい、掻きむしってしまったり、ウミが出てきてしまったり。髪の毛に関わるアレルギーの症状は、こちらのほうが近い印象があります。

ヘナについて

 ヘアカラーに代表される「ヘナ」も、天然成分で安全である事が売りとされていますが、100%身体に優しいとは言えません。僕の担当するお客様の中にも「他店でヘナカラーをしてかぶれた」経験のある方が何人かいます。

©iStock.com

 そもそもヘナは美容師間でも賛否両論、はっきりと意見が分かれてしまうほどメリットとデメリットがある薬です。美容室で使うお店と使わないお店があるのはこのためです。

 ヘナのメリットは天然成分である他に、髪の毛や頭皮にダメージがないことです。ダメージを与えることなく染色できるため、基本的に長時間薬を付けていても、悪影響がほぼありません。

 ヘナでの染色のデメリットは、染まるのにとても時間がかかることです。一般的な美容室の白髪染めの薬を置く(髪に塗って放置する)時間は、15~30分程ですが、ヘナは30分~1時間といったところでしょうか。もちろんどちらも薬の種類や使い方によって前後しますが、美容室での滞在時間に大きな差があります。