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父親の突然死に「後悔」 脱臭に3日…壮絶な「孤独死の現場」6年で見えた「人間の裏側」

遺品整理人・小島美羽さんインタビュー #2

2020/07/26
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――それは興味深いですね。小島さんは、緊急事態宣言下でどう過ごしていましたか。

小島 仕事はなくても、なんだかんだで板橋区の事務所(勤務先の遺品整理クリーンサービス・株式会社ToDo-Company)に顔を出していました。普段はお休みが週に1日あるかないかくらいで、しっかり休めばよかったんですけど気になって。

 普段の休日はけっこう疲れているので……起きるのは早いんですけど、ベッドにいる時間が長いです。1日の半分くらいごろごろしながらYouTubeを見たりします(笑)。友達との予定があれば出かけますが、だいたい家でゆっくりして。ゲーム実況が好きで、ホラーゲームの実況を見たりですかね。もともとは飽きっぽいのでゲームをやるよりゲーム実況のほうが楽しいんです。全クリしたのはポケモンとどうぶつの森くらいで。

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ミニチュアを抱える小島さん ©Hajime Kato

遺品整理人を6年続けて、価値観が変わった

――今の仕事を続けてきた6年間、小島さん自身が変わったなと思うことはありますか。

小島 色々変わりましたね。この仕事をする前は、「そんなに悪い人なんていないよな」って性善説にたって世の中を見ていたあまちゃんだったと思うんです。でも仕事で色々な人と関わっていくうちに人は嘘をつくし、だまそうとする。亡くなったら、最後は結局お金になっちゃうのかな。そういう裏側や闇の部分にふれて、現実を知ることもありました。性悪説とまではいかなくても、人をほんのり疑うようにしようと(笑)。

 価値観も変わりました。この仕事をするまでは何も考えてなかった。面倒くさいと思って避けていた、一人ひとりが考えなければならない問題を考えるようになりました。誰かの指示を待っているのではだめで、自分で行動しないといけないんですよね。仕事に対する責任感のようなものが芽生えたのかな。すぐには成長できないですけど、怒られていっぱい失敗して、少しずつ成長してきた感じです。

――これからの仕事に対して、思い描いていることはありますか。

小島 欲をかかないことですかね……。同じように遺品整理人になりたいという相談を受けることがあるのですが、お金に目がくらむ人、最初は信念を持っていたけど大金の話が出ると飛びついて失敗してしまう人。そういう人たちを見てきて、人間は欲をかきすぎるとだめなんだなと思います。ミニチュアを作って、見たい、話を聞きたいと言ってくださる人たちがいることは本当に貴重だと思うので、鼻高々にならず、謙虚に謙虚に生きていこうと思います。

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