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遺族には「話したいのを我慢している方も多い」

――遺品整理については、依頼主の方と一緒に作業することはありますか?

小島 人によりますね。一緒にやりたいという方もいれば、鍵を預けるので全部やっておいてほしいという方もいます。半分ずつくらいでしょうか。一緒に作業していると、遺品が出てくるにつれて趣味や好きなものも段々とわかってくるので、こちらから「器用な方だったんですね」と話しかけたりすると、最初は暗く落ち込んでいる遺族の方も次第に楽しかった思い出を語り出すことがあります。話したいのを我慢している方も多いんです。話すことで、最後はすっきりした顔で帰られることもあります。その場限りの出会いになるので、グリーフケアとまではいきませんが、少しは心を軽くすることができているのかなと思うこともあります。

「遺品の多い部屋」。天袋には日本人形や写真アルバムなどがしまわれている。 ©Hajime Kato

特殊清掃では、3日かけて「特有の臭い」を脱臭

――一方で、特殊清掃(死後、時間が経過すると遺体から体液が漏れ出るため、孤独死特有の臭いや体液を徹底的に除去する特別な清掃作業)にはまず相当な体力がいりますよね。段取りと綿密な準備、特殊な道具を使いこなしながら、短時間で一気に完璧に臭いまで消し去らないといけない。素人にとっては想像がつかないところもあります。具体的な手順を教えてもらえますか。

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小島 まず特殊清掃が必要な部屋に関しては、わたしが消毒液を片手に先陣をきって入っていき、亡くなられていた場所に消毒液をまいていきます。その間に、他の従業員がふたりで運ぶしかない大きな家具などを出す。わたしは消毒液をまいた後に、亡くなられているのがお布団だったらそれを畳んで大きな袋に密閉します。その間に他の人がひとりで運べる遺品などをそれぞれで部屋の外に運び出します。ある程度臭いを発しないくらいまで済んだら、わたしも遺品整理に参加して物を出していきます。

特殊清掃の作業にあたる小島さん

 あらかた物を出してから本格的な掃除に入ります。死後時間が経っている場合には布団の下の畳や床にまで体液が染み出していて、床を切らなければならないケースもある。次に、キッチン、トイレ、洗面所、お風呂、廊下、フローリング……と作業を進め、清掃自体は1日で、当日の14時くらいまでに終わらせます。そこから「オゾン脱臭機」をかけて1~2日様子をみます。臭いが消えたかどうか確認しながら、脱臭にはだいたい3日くらいかかるでしょうか。

――とにかく最初は、臭いのもとを取るんですね。

小島 消臭と消毒をしてから取ります。臭いは、季節と放置されていた期間によって手強さが変わります。夏の時期、たとえば先日の現場は神奈川で、発見されるまでに1カ月が経っていました。まだオゾン脱臭機をかけている最中です。冬だったらそこまで腐敗も進みません。少なくとも吐き気がするほどではありません。