西武のショートで「たまらん」プレーを連発する源田壮亮の左隣で、二塁手として軽快なフィールディングを披露して2年目になるのが外崎修汰だ。球界きってのユーティリティプレイヤーはセカンドが天職であると思われるほど、華麗なグラブさばきやフットワークを見せている。
2019年は142試合でセカンドを守り、UZRはロッテの中村奨吾に次いでリーグ2位の9.1を記録した(UZRは守備の評価指標。同ポジションを守る選手の守備力を比較する際、平均的な守備能力の選手と比べて失点をどれだけ防いだかを表す。上記の数値はDELTA社が発表)。
遊撃手として入団した外崎は、高い身体能力を誇る反面、決して守備に優れていたわけではない。ショートやサードで起用されるなか、特にスローイングでのミスが目についた。
入団1、2年目は出場機会が限られたが、3年目の2017年に辻発彦監督が就任すると、外野で併用されて台頭していく。同時にサード、セカンドで起用されたものの、課題として露呈したのが逆シングルでの捕球と送球だった。
“名手”辻発彦のアドバイス
「捕るのに精一杯で、捕るところで動きが1回止まっている。捕ってから足をもう1歩動かして、送球までスムーズにつなげるように監督から言われました」
2018年5月9日のソフトバンク戦前の練習中、外崎はサードで辻監督から指導を受けていた。前日、県営大宮球場で決勝点につながる捕球ミスを犯しており、改善点を指摘されたのだ。
アメリカや中南米では逆シングルで処理するのは普通だが、日本では一般的に「正面で捕れ」と指導される。子どもの頃から「体で止めろ」と正面での捕球を徹底させられ、逆シングルで捕りにいくと怒られる場合も珍しくない。外崎も「回り込める打球は正面に入れ」と言われて育ち、逆シングルについて「これが正しい捕り方」と教えられたことはなかったという。
それが2019年、浅村栄斗(楽天)がFAで抜けたセカンドに固定されると、センター方向に抜けそうなゴロに追いつき、逆シングルで捕球してうまく処理する場面がしばしば見られた。サードで苦手だったプレーを、なぜできるようになったのか。セカンドに入って体幹の強さなど身体能力が生きるようになったのではと仮説を立てていたところ、一つ要因がわかった。実は、“魔法のグラブ”を手にしていたのだ。