7年ぶりの続編となるドラマ『半沢直樹』(TBS系)の初回が7月19日に放送された。社会現象になるほどの大ヒットドラマの続編ということもあって、注目が集まっている。

 そのドラマの中で、主人公の半沢直樹と共に東京中央銀行から東京セントラル証券へ出向させられた三木重行という男を演じているのが、東京03の角田晃広だ。普段からコントでもサラリーマン役を演じることが多い角田は、スーツが似合っていて演技にも違和感がない。

ドラマ『半沢直樹』の出演者(2013年) ©共同通信社

 近年、角田以外にも芸人が俳優業に進出する事例が相次いでいる。今ではテレビドラマに芸人がキャスティングされるのは当たり前のことになり、見る側がそれに違和感を覚えることもなくなった。なぜ芸人が続々とドラマに出るようになったのだろうか。

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ビートたけしや明石家さんまが築いた道

 もともとは芸人が芝居をしたり、ドラマや映画に出たりするのはそれほど珍しいことではなかった。喜劇的な物語の中で役柄を演じる人は「喜劇役者」「喜劇俳優」などと呼ばれることが多かった。

 最近の「お笑い芸人」は、漫才、コント、ピン芸などのうちいずれかの芸を専門にしていて、テレビでもタレントとして活動していることが多い。そういう新しいタイプの芸人が本格的に俳優業に進出し始めたのは、恐らくビートたけしや明石家さんまの頃だろう。

映画『スプリング、ハズ、カム』にも出演した角田晃広(左端)

 たけしは1983年に大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』に出演して話題になった。さんまは1986年放送の『男女7人夏物語』で主演を務めた。バラエティの最前線で人気を博していた芸人が、コメディタッチではないドラマに出演するのは異例のことであり、『男女7人夏物語』は続編が作られるほどの大ヒットを記録した。

『古畑任三郎』に出演した“あの芸人”

 その後、バラエティ畑の若手芸人が本格的に俳優業になだれ込むきっかけの1つとなったのは、当時アリtoキリギリスというコンビを組んでいた石井正則が、脚本家の三谷幸喜に抜擢されて、人気ドラマの『古畑任三郎』の第3シーズン(1999年)から出演したことではないかと思う。