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 取材のこぼれ話になるが、飯塚投手は意外な一面も教えてくれた。

「幽霊の話でむちゃくちゃビビるところかわいいんすよ。とにかく寮に幽霊おるらしいとイジってました(笑)」

 どうだろう、昨年の日本選手権の覇者・大阪ガスが誇る投手陣からの愛に溢れた言葉。

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 あらためて小深田大翔の選手としてのスキルと野球に対する真摯な姿勢、人柄が窺える。

 取材の最後に阪本投手から「こぶをよろしくお願いします」と言われた。

 そうか、僕は4人からのラブレターを預かったのだ。

南海難波駅前、こぶちゃんとの出会いは突然に……

 昨年の11月の事だ。出会いは突然にやってきた。南海難波駅前を歩いていた僕の目の前に現れたその青年の後ろ姿、身長は170センチの僕よりも小さい。しかし履いていたデニムの太もも、ふくらはぎ部分は張り裂けんばかりにぱっつんぱっつん。明らかに何かスポーツをやっている雰囲気がぷんぷんする。見返りなんちゃらではないが顔だけでも見てやろうと前にまわってびっくり、2週間前のドラフト会議で東北楽天ゴールデンイーグルスが1位指名した大阪ガスの小深田大翔ではないか!

 もちろん全く面識はなかったが、声をかけさせてもらった。

「大阪ガスの小深田選手ですよね?」

 僕を見つめながら無言で「はぁ」と言わんばかりに顎を前にだす。

 先日の日本選手権優勝おめでとうございます。だとか、ドラフト1位おめでとうございます。次にかける言葉は沢山あったはずだ。

「ありがとうございます!」

 興奮のあまり楽天ファンであるとの説明もなく、さぞ気持ち悪かったとおもうが、もう一度顎を前にだしながら少し笑ったような気がした。

 今思えばあの時の照れた笑顔に僕もやられていたのだ。

 誰からも愛され、応援させてしまう彼の人柄は東北にもぴったりハマると思う。

 がんばれこぶちゃん!

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