大久保容疑者とDM上で“合掌”
「患者女性と連絡がとれなくなったので、何度か一方的にDMを送っていました。それでも返事がないので、直前に《自宅に行く》と言っていた先生に連絡してみたんです。もしかしたら患者女性の容体が急変して亡くなってしまったのかなと思って」
くらんけさん《ところで○○氏は? もう?》(2020年1月26日)
くらんけさんが大久保容疑者に連絡したのは、患者女性が亡くなった2カ月後。その頃にはすでに京都府警が捜査を進めていた。しかし、大久保容疑者から届いた返信は「至って普通のものでした」という。
「先生も、患者女性から連絡は来ていないということだったので、やはりもう亡くなってしまったんだと思いました。私はてっきり先生が自宅に行くまでもなく、患者女性は亡くなってしまったんだろうと……。DM上でしたが、先生と2人で合掌もしました」(同前)
大久保容疑者《連絡来ないっすね》(2020年1月26日)
くらんけさん《わしも来ないから、おそらくですな》(2020年1月26日)
大久保容疑者《寿命ですかな》(2020年1月26日)
舩後靖彦参院議員は「死ぬ権利より生きる権利」
しかし7月23日、京都府警は大久保容疑者と山本容疑者を嘱託殺人の容疑で逮捕した。くらんけさんが複雑な胸の内を打ち明かす。
「先生は真面目な方だったんだと思います。仕事で患者を看取ることが多いので、《殺してくれないかなって言われても手を下すことができないのが辛い》とよく言っていました。同期や知り合いの医師に話をしても《先生も大人になりなよ。仕方ないんだよ》としか答えてもらえないらしく、悩んでいた。患者女性からも私に《私が死にたいと思う理由はこんな身体で生きたくない、それただ一つだけです》というDMが送られてきたこともある。今回のことを、私は責めることができません」
この事件を受けインターネットなどを中心に安楽死を認めるべきであるという意見も多い。しかしこうした反応をうけ、自身もALSを患う新選組の舩後靖彦参院議員は自身の公式ウェブサイトでこのような見解を述べている。
「難病患者や重度障害者に『生きたい』と言いにくくさせ、当事者を生きづらくさせる社会的圧力を形成していくことを危惧する」
「『死ぬ権利』よりも、『生きる権利』を守る社会にしていくことが、何よりも大切です」
捜査関係者によると「医師らが滞在したのは10分程度。事前にSNSで患者女性と入念な打ち合わせをしたうえで犯行に及んだ疑いがある」という。
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