飛田新地とヤクザの関係性
「飛田がなかったら、世の中、えらいことなる思うわ。強姦傷害事件がどんどん起きるでしょ。それが分かってるから、警察はいちおうお目こぼし。せやから真面目にしなさいよ、言いよる。ヤクザは絶対あきません。誰でもいい。変なヤクザがついてて、ヤクザが事件を起こした場合、もう店はアウト。最初から弱みを握られとるんやからね。やってるのは売春なんだから。飛田いうたら怖いイメージあるでしょ、世の中に。みんなヤクザが付いてて……来てみりゃそんなことないねんけど、大阪の人間でさえ、絶対ヤクザが裏にいると思っとる。だから働きにきた女の子が『なんで?』『えっ?』と言いますわ。女の子が誰と付き合おうと自由やけど、ヤクザのヒモも、ほとんどいない思います。
その他、女の子が覚せい剤ポーンと打って、おかしなって、警察に連れていかれたらこれも終わりや。いかに上手に自分たちの手元で、女の子を管理、教育するかやね。店終わると、女の子たちはどこでも行くんやから。鎖付けとくわけにいかんのやから」
とはいえ、経営者の話では警察に金を払っているわけではないらしい。見返りは暴力団の排除ということだろう。
ヤクザは巧妙に繋がりを持つ
何度か話しているうち、暴力団の一部が、巧妙に店とつながっていることが分かった。きつく申し渡される“斡旋禁止”という部分に、彼らのシノギがあった。
「斡旋業者いますよ。それをしたらあかんねんけども、それがないとすべての店に女の子が勝手にくることない。スカウトしてくるねん。表の張り紙みてくる女の子……ほとんどいないです。年に1人くらいとちゃいますか。それがばれたらね、警察が来るんです。斡旋は罪が厳しいんです。経営者は売春でやられる。スカウトマンは職安(職業安定法)でやられる」
この店は最近、営業をやめてしまったので、もしかしたら違法な手段で女性を集めていることが露呈し、警察に逮捕されたのかもしれない。ただ、飛田新地が暴力団からもっとも遠い売春街であることは事実で、ぼったくり店などは一軒もない。
写真が御法度なのは働いている女性のプライバシーの問題で、もめ事になっても暴力団が出てくることはない。盗撮するなら簡単だ。私の場合はバルコニーから望遠レンズを構えるだけでよかった。