さとみの真骨頂「いや……行かないで」
カンチがリカに会うために「行かなきゃ」と伝えるも、ここからが真骨頂。さとみは「いや……行かないで」、「好きなの」と囁き、カンチとリカが会うことを見事阻止。これ以上ない最悪のタイミングで訪れて、悪女史に名を刻む偉業を成し遂げた。
続いて江口洋介が演じた三上健一の分析をしていこう。遊び相手が何人もいるが、カンチと同じく三上も学生時代からさとみが好きだった様子。しかし三上は、医学生である三上が通う大学の同級生・長崎尚子（千堂あきほ）にも気があり、さとみと尚子を行ったり来たり……。
よくよく観返すと、三上は「トラブルの元凶」
三上が「悪人」たる所以はシンプルにチャラすぎるということ。男気を見せることもあって憎めない奴だが、よくよくドラマを観返してみるとトラブルの元凶はだいたいコイツ。
初期の人間関係を簡潔にまとめると、【リカ→カンチ→さとみ→三上】という片思いの恋愛感情ベクトルがあり、三上が食物連鎖のピラミッドの頂点にいるようなものなのだ。そのため三上がほかの女や尚子にフラフラすると、さとみが傷つきカンチにフラフラ行き、さとみに頼られるとカンチがさとみにフラフラ行き、リカが傷つく。こういう玉突き事故みたいなことがたびたび発生し、リカが甚大な被害をこうむっていたのである。まぁ三上がチャラかったおかげで、物語が活発に動き、『東ラブ』というドラマが大いに盛り上がったわけだが。
カンチは「約束の時間すぎたよ……もう行かない」
最後は当然、織田裕二演じるカンチ。視聴者からはそこまで叩かれなかったが、この男も相当キツいことをリカにしているのだ。
カンチはたびたび、リカと待ち合わせの約束をしていても、あとから割り込んできたさとみを優先させていた。第2話では夜7時の待ち合わせから4時間ほどリカを待ちぼうけさせてしまう。この日は夜11時すぎにカンチが到着し出会えたが、この前科がありながらカンチは同じ過ちを再び犯すのだ。
それはまさしく、第9話で例の「おでん女」が現れたとき。自分からリカを呼び出しておきながら、さとみにすがられて家を出られないカンチ。約束の夜9時をすぎると、「約束の時間すぎたよ……もう行かない」とさとみに宣言し、抱きしめる。
