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カンチって本当に優しかったんだろうか?
カンチがリカとさとみを行ったり来たりしてしまうのは、優柔不断だからという一言だけで片付けられない気がする。一般的な彼の評価は「優柔不断だけど優しい男」なのだろう。“優しさ”がカンチのいいところ……と思われがちだが、カンチって本当に優しかったんだろうか? カンチは“優しい風”なだけで、“優しさ”を履き違えてるんじゃないかと思う。
甘えて頼ってくるさとみをいつでも受け止めてあげるのが優しさなのか? “優しさ”の定義が明確でない以上、何が本当の“優しさ”なのかという答えは誰も持ち合わせていないけれど、少なくともカンチのさとみへの対応によって、リカが何度も地獄の苦しみを味わったのは間違いない。
ちなみに悪気がないからOKなんてことはなく、悪気がないほうがよっぽどタチ悪いってこともある。えてして恋愛で周囲の誰かをえげつないほど傷つけるのは、“優しい風”の悪気がない人間だということは往々にしてあるのだ……。
恋愛論の観点からいえば、特に2人の異性にフラフラしまくる、リカ以外・チーム愛媛の三人衆は、開いた口がふさがらないレベルだった。けれど4人の「悪人」たちが物語を支配していたからこそ、「月曜の夜は銀座からOLの姿が消えた」と言われたほど、胸がぎゅーーーーっと締め付けられる至上の恋愛ドラマに昇華していたのも、また事実なのだ。