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高校の陸上部時代(提供:三浦瑠麗さん)

三浦さんは指摘する。

「多くの母親が、このような被害にあった子供のことを責めてしまうようです。子供と自分を一体として見ているために、自分にとっても取り返しのつかないことが起きたと思って、自分を叱るような気持ちで子供を叱ってしまったりするみたいです。」

大切なものを奪われたと思ってしまう親が多いが、親は被害者ではないということを忘れないでほしいと繰り返し語る三浦さん。被害者は子供自身なのだと。

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「しっかり抱きしめてあげてほしい」

「親は、口走っちゃうことを止めてほしいんです。ああ、台無しになっちゃったとか、あなたの人生もう終わったとか、取り返しのつかないことになったとか言わないでください。子供が小さければ小さいほど、親の言うことを信じてしまう。」

では親はどうしたらいいのか。三浦さんはどうしてほしかったのか。

大人になった三浦さんは迷わずこう答えた。

「しっかり抱きしめてあげて、『大丈夫、大丈夫』って語りかけてあげてください。10代後半までの女の子なら愛情だけを伝えること。親も自分を安定させることに繋がります。仮に思春期で突っ張っていても、ハグとか、安心感を与えてあげることはとても効果があると思います。」

「大丈夫」とは被害を軽く見ているからでは決してない。
「私がついているから大丈夫」「味方だよ」と言う意味だ。

「何があっても味方だよってことは、そのとき子供が言ってくれなくても許す―――許すって立場にさえないということを、親は自覚しなくてはならないんです。子供は授乳期を終えたらもう親のものではないと思ったほうがいいと思います。」

子供の意思が親の意にそぐわないものだったとしてもそのまま受け入れてあげることが、「大丈夫、味方だよ」ということなのだと。

「子供は授乳期を終えたらもう親のものではないと思ったほうがいい」と語る三浦さん

「子供がそういったことを話してくれること自体がすごく奇跡的なことなんだって考えた方がいいかもしれないです。」

当時誰にも言えなかった三浦さん自身は、「大丈夫、大丈夫」と言われることはなかった。